海外で大絶賛される「阿波踊り集団」の正体 ニューヨークやパリ市民を踊らせた「寳船」
――パリとニューヨークで、「楽しい!」の反応はどう違うのか。
パリのJAPAN EXPOに来るのは、日本文化に興味があるお客さま。2014年に公演したとき買ったTシャツを着て、2015年も来てくれるファンがいます。公演後もSNSを通じてファンとの交流を継続できるので、1年会わなかった感じがしない。世界のファンとつながり続けている感じです。
ニューヨークはパリとは違って、どの国の文化であるかとか、トラディショナルだからすばらしいとかは関係なく、エンターテイメントとして純粋にオモシロイものを求めてきます。
いずれにせよ、どの国でも最後は一緒に踊って、阿波踊りの体験をしてもらいます。日本人だと恥ずがしがってしまいますが、海外は皆踊ってくれますね。
発信する側にある「日本」という固定観念
――クールジャパンという追い風を、寶船はどう考えるのか。
クールジャパンのコンテンツって、アニメ、ゲームなど現代的なものと、茶道・歌舞伎など伝統的なものが、それぞれバラバラのブースで紹介されていて、それをバラバラのお客さまが見て帰る感じなんですよ。日本人にとっても歌舞伎は若者には難しく感じるところがあるけれど、アニメやゲームは年配の方にはわかりにくいですよね。
どちらも同じ日本なのに、どちらかに偏りすぎている。そのことが、日本に対しての誤解を産みそうな気がして。もっと、若者から年配の方まで楽しめるものがあるはずで、阿波踊りはまさにそこにハマる。阿波踊りは400年の伝統がありながら、年齢を問わず参加できるしキャッチーなカッコよさもある。二極化しがちな日本像に、寶船が風穴をあけたい、と思っています。
――なぜ、ステレオタイプな日本像に陥りがちなのか。
クールジャパンを発信している日本側に固定観念があって、商業的にアニメやゲームの方が海外で売れるので、そちらを推したいというところはあると思います。一方で、伝統的な歌舞伎は海外で観てもらおうと思っても、舞台装置の準備が必要だし、外国の方にも理解できる翻訳が必要でハードルが高い。海外の人の中にも黒沢映画が好きな世代もいれば、「ワンピース」で育った世代もいる。でもどっちも日本なので、受け手に別々の日本だと思われているのがもったいないような気がします。
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