クレハの”負けん気”経営、視界不良の化学業界で異彩放つ

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大手の技術導入横目に「何クソ!」で技術立社

クレハの前身は1934年設立の昭和人絹。レーヨン(当時の人造絹糸)を工業化、その原料に必要なカセイソーダや硫酸などの基礎化学品を生産し、第2次大戦後は、そこで培った食塩電解によるカセイソーダ製造を中核とした。

カセイソーダの生産では副生の塩素が発生する。この塩素を大量に利用する方法を模索する中で、同社の塩化ビニリデン樹脂が誕生した。塩化ビニリデン樹脂自体は耳慣れない名称だが、これが現在、木村カエラとオカッパ少女のテレビCMで人気の「クレラップ」の原料だ。日本では53年にクレハがいち早く自社開発の技術で国産化を開始。半年遅れで旭ダウ(現旭化成)がダウケミカル社から技術を導入し、「サランラップ」を発売している。

実は、この技術導入で、クレハは旭化成との争奪戦に敗れた経緯がある。『呉羽化学五十年史』によれば、「工場の設備が充実していること」に旭化成の勝因があったとされるが、ここでクレハは一念発起した。旭化成に半年先んじ、自力で開発・発売したのがクレラップだった。現在ではサランラップと市場を二分する同社の看板商品としておなじみだ。

「旭化成に負け、『何クソ!』というこのときの気持ちが、クレハのものづくりの基盤になった」と岩崎隆夫社長は話す。もっぱら海外からの技術導入に頼る他社を横目に、規模で劣る同社は自社技術による「技術立社」をコンセプトとした。

塩素利用はさらに広がり、87年には主に自動車のエンジン回りの各種電装部品などに使われるPPS樹脂に進出。08年の世界シェアは自社推定で30%強に上る。足元は北米自動車向け需要が急落しているため厳しいが、自動車部品の金属代替と電装化の進展をバネに、近年同社の業績を牽引してきた。他にもリチウムイオン電池用バインダー、農業用殺菌剤などに、塩素は余すことなく活用されている。

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