みんな知らない、NISAより断然スゴい制度 とてつもない「税」と「手数料」のメリット

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個人型DCの掛金の限度額は自営業者の場合で年間81万6000円、企業年金のない会社に勤めるサラリーマンの場合は年間27万6000円です。仮に30歳から30年間積立てを続けると、累計はサラリーマンでも828万円、自営業者であれば2448万円もの掛金となりますから、これだけが所得控除される上に、運用益もまったく非課税ということであれば、そのメリットは非常に大きいと言わざるを得ません。

さらに個人型DCには、NISAにはないもうひとつのメリットがあります。それは投資信託などを購入する場合の手数料です。個人型DCの中には非常に手数料の安いものがあります。NISAで購入する一般の投資信託に比べると大幅に安く、たとえば国内株のインデックス型の場合、一般の投信が0.5〜0.6%程度ものが多いのに対して、DC専用の場合、0.2%程度のものもあります。

冒頭に投資の最大の敵であるコストのひとつが税金だと言いましたが、もうひとつの大きなコストである手数料も割安ということであれば、こちらのメリットもかなり大きいと言えるでしょう。

気をつけておくべき落とし穴

もちろん、個人型DCが何もかもいいことずくめ、というわけではありません。利用するにあたっては、いくつか注意すべきことがあります。

ひとつ目は、引出しの制限です。この制度は基本的には60歳以降の老後生活をまかなうための手段として位置づけられています。だから、所得控除に加えて運用益が非課税というしくみになっているのです。

したがって、どんなことがあっても60歳までは引き出すことができません。これは非常に厳格なもので、生活に困ったから引き出したいと言っても、それはできないのです。先ほど、“用途を限って言えば”と言ったのは、こういう理由だからです。あくまでも老後準備のためだけに限って利用すべきであると言えます。

ただ、中途で引き出せないと言っても、投資しているものが値上りしても売却できないということではありません。利益を確定するために売却することは可能で、その場合は一旦売却したあと、価格変動のない定期預金などにおかねを移すことができます。NISAの場合は株や投資信託といった投資性商品しか利用できませんが、DCの場合は元本保証の金融商品でも運用することは可能なのです。

2つ目の注意点は、口座管理費用です。DCにおいては、企業型であれ個人型であれ、毎年一定の口座管理費用が発生します。運営管理を行う機関によって金額はまちまちですが、およそ年間で6000~7000円程度はかかります。企業型の場合、多くは企業が負担しますが、個人型ですと個人で負担しますので、この金額にも注意が必要です。

NPO法人 確定拠出年金教育協会が提供している「個人型確定拠出年金ナビ」で、各金融機関の口座管理費用を調べることができますから、加入する際には比較検討すればいいでしょう。

こうしたいくつかの留意点を考慮したとしても、老後に向けた資産形成の手段としては確定拠出年金が最高の方法であることは疑う余地がないと思います。

今年は法改正が予定されており、従来、自営業や企業年金のない企業に勤めるサラリーマンしか利用できなかった個人型DCが、公務員や専業主婦など、ほぼ誰でも利用可能になる予定です。NISAの前に検討してみてはいかがでしょうか。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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