北朝鮮のミサイル発射で緊迫、オバマの現実的方策

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 かつて米国務省高官を務めたコリア・ソサエティのエバンス・リビア会長は「北朝鮮は長年にわたって同じことを繰り返してきた。私たちは北東アジアにおける平和と安全を脅かす元凶が北朝鮮だと、はっきり主張し続けていくつもりだ」とする。ただ今のところ、政府としての現実的な方策が具体的な進展を見ているわけではない。2月下旬、ヒラリー・クリントン国務長官はスティーブン・ボスワース前駐韓大使を北朝鮮問題の特使にすると発表した。しかし、この任命に対して北朝鮮は目立った反応を示さなかった。政府としては、ボスワース氏が米国と最近接触している唯一の北朝鮮の政府高官(李根外務省米州局長)ではなく、より実力を持つとされる姜錫柱外務次官との面会を期待していた。だが、それは実現に至っていない。

日米韓で共同 米国政府の対応策

現時点では、米国とその同盟国は北朝鮮のミサイル発射に連携して対処すべきということで、幅広い一致を見ている。ロンドンで開催されたG20(金融サミット)に出席したオバマ大統領は、韓国の李明博(イミョンバク)大統領と会談。さらに今年後半には訪日する計画も明らかになっている。日米韓の3国では、北朝鮮の発射に先立って、迎撃ミサイルを装備したイージス艦を日本海沖に展開した。

一方で、米国政府関係者の中には、日本が北朝鮮からの“挑発”に過剰反応するのではという懸念を持つ向きもある。「麻生氏は国民に対してタフな首相を演じようとしている。だが現実的な日本の選択肢は、オバマ政権が追求しているものと変わらない」(APARCのスナイダー氏)。グリーン氏は「重要なことは、北朝鮮に自らの行為の帰結を目に見える形で知らしめることだ」と語る。

今後、各国との協力関係を強化しながら、緊張状態を高めない形でどこまで北朝鮮の軟化を図れるか。オバマ政権の手腕が問われる。

(ピーター・エニス(在NY) =週刊東洋経済)

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