「けんせつ小町」先輩たちはこんなに苦労した 男社会で働くためにやってきたこと
「年齢もキャリアも違う人たちがいる中で、社会人の経験が最も少ない私にわざわざ声を掛けてくれる人はいないんだなと気付くまで時間がかかりました。同年代の男性から声を掛けられることが多かった学生時代とは違う。自分から近づいていかないと何も変わらないんだと」
そう思うようになるまで3カ月程度かかった。まずは休憩時間の雑談から始めた。実際、自分から積極的に声を掛けていくことで、変わっていったという。
自分が変わることで周りも変化
「声を掛けることで、『俺と話したいならしゃべってやってもいいぞ』『俺の知っていることを教えてもいいぞ』という雰囲気になっていきました。みなさん、いい人たちなんだ。私が悪かっただけなんだ。そう分かってからは、相手の立場になって、こうやったらやりやすいんじゃないかとか、そのためにはもっと相手のことを知らないとだめだなと、もっと話すことで、相手も気持ちよく仕事をしてくれるようになり、作業効率も上がりました。今思えば、転校生のような感じだったのかな」
女性が工事現場という男性社会の中で、打ち解けていくための一つのヒントがここにありそうだ。声を掛けられるを待っているだけではダメ。自分から積極的に話し掛けることで、現場の雰囲気が変わっていく。現場での会話によってお互いを知ることが作業効率にも影響していく。
西岡さんはその後、シールド関連の技術開発を担当。自分の力不足を痛感することもあったが、入社9年目の2004年に初めて会社を辞めたいと思った「事件」が起こった。
「このときはすでにコンクリート技術者として資格も取得して自信を持ち始めたころでした。ある取引先の工事現場で急きょコンクリートに関する調査をすることになって、現場に行ったときのことです。橋脚工事でしたが、工期の後半に入っていたので、現場には緊張感がありました。そこへ取引先のトップの方がいらっしゃいました。それまでは普通に現場で仕事をしたのに、そのトップの方は私を見ると『なんで女がやってるんだ!清水(建設)はなんで女を来させるんだ!』と怒鳴るように言われました」
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