石油化学は再編必至、中国需要の神風でも過剰設備の重荷



 過剰設備も悩みの種だ。2007年末の国内生産能力770万トンから経済産業省が見通す09年の国内出荷量を引くと約300万トンの余剰分が発生する。これら全部を輸出に振り向けるのは容易でない。国内プラントは、統廃合という現実に直面している。

すでに事業撤退も進んでいる。3月末、三井化学と住友化学は共同出資子会社「日本ポリスチレン(JPS)」を解散すると発表した。9月をメドに、大阪工場と千葉工場の操業を停止する予定だ。

住友化学はサウジで勝負

JPSは、家電製品・包装材料等向けポリスチレン樹脂業界で国内4位。かねてから「需要家の海外生産シフトや国内需要の大幅減」(JPS)が響き、余剰設備を抱えていた。

そこに昨夏以降の不況が直撃。09年のポリスチレン樹脂の国内生産量は、84年以来の水準となる70万トン台にまで下降する見通しだ。国内生産能力100万トンのうち、2~3割を持て余すことになる。JPSのみならず「エチレン系中間製品は、09年度中に停止するかどうか決定する」(三菱化学の小林喜光社長)と、すでに次の撤退候補も浮上している。

こうした中、住友化学は競争力確保へ動いている。サウジアラビアの紅海沿岸に位置するラービグで、世界最大級の石油精製・石油化学コンビナートが4月から動き始めた。まずはエチレン130万トン、プロピレン90万トンおよびその中間製品を生産する予定。主に中国を中心としたアジアへの輸出をもくろんでいる。

一方で、非石化事業として環境素材の開発などに力を入れるメーカーもあるが、競争は激化している。もはや再編待ったなしの業界で、新たな展開に向けた模索が進んでいる。

(二階堂遼馬 =週刊東洋経済)

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