『ビッグイシュー』が目指すもの、ホームレス支援にビジネスで挑む


 ホームレス支援とビジネス、あまりにも懸け離れた両者がどうして結び付いたか。代表の佐野章二氏は創刊前からビジネスベースでのスタートにこだわった。その理由は大きく三つに分けられる。

まず、売れる雑誌作りへのこだわり。たとえば、ホームレス支援のためと言えば1冊目は買ってくれるだろう。しかし、内容を見て「なんだ、この程度か」と思われたら、次は買ってもらえない。継続的にやっていくためには、いかに売るかというビジネス感覚が不可欠となる。「また買いたい」--この継続性が支援の安定度を高める。

3月1日号の表紙はオバマ米大統領だ。これまでもレオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピットなどビッグネームが飾った。彼らへのインタビュー記事はBIの目玉となっている。しかし、定期読者が支持するのは全体の4分の3を占める日本版独自の記事である。これまで格差社会、ひきこもり、うつ病といった社会問題を取り上げてきた。読者の最大層は20代女性である。

次に、販売員との問題意識共有。佐野氏は販売員を「ビジネスパートナー」と呼ぶ。一人ひとりがいわば販売代理店として責任を持つ。1号当たり1000部前後売る人がいる。礼儀正しいとの評判で7割以上が常連客だ。また、積極的にバックナンバーを売る人もいる。精読し、各号の特集を説明できなければならない。要は販売員にビジネス感覚を持たせること。「たまにおカネだけ出して雑誌はいらないというお客さんがいるが、ちゃんと雑誌を渡すよう言っている」。佐野氏は「福祉よりビジネスのほうが関係がフラットになる」とも言う。

三つ目が社会への問題提起。ホームレス問題の根底には、社会の誤解・偏見がある。われわれは「ホームレスは働く意欲がなく、寝てばかり」という先入観を持ってはいないか。大阪府立大学の調査によれば、いわゆるホームレスの人の8割以上が廃品回収など日雇い労働に就いている。そして半数近くが「自立したい」と考えている。多くのホームレスは夜中働いているのだ。佐野氏は「路上販売を通して、ホームレス問題を可視化できる」と言う。路上に立ち雑誌を売ることで社会との接点ができる。ビジネスというオープンな環境がそれを可能にする。

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