『ビッグイシュー』が目指すもの、ホームレス支援にビジネスで挑む


ソーシャルビジネスとは

貧困、少子高齢化、高齢者・障害者介護、環境保護などさまざまな社会的課題が顕在化しつつある。従来こうした課題は行政など公的セクターで対応が図られてきた。しかし、課題が増大、また多様化・困難化する中で、それだけでは限界がある。

近年、こうした課題に対し、市民が主体となりビジネスとして積極的に事業性を確保しつつ、問題解決しようとする活動が注目されている。ソーシャルビジネス(SB)と総称されるが、その代表例としては、バングラデシュの貧困層に無担保融資を続け、06年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏のグラミン銀行などが挙げられる。

ホームレス支援の場合、行政によるセーフティネットは不可欠だ。また、NPOなどによる炊き出しや毛布の配布がホームレスの人たちの生活を支えている。しかし、さらに「働きたい」「社会と接したい」と考える人々への対応は行政だけでは十分ではない。その橋渡し役を買って出たのがBIである。アパートを借り、住所を持たなければ、職探しはできない。

SBに詳しい一橋大学の谷本寛治教授は「社会的課題には行政でしか扱えない問題があるとともに、ビジネスだからできる領域がある」と言う。経済産業省の推計では日本のSBの市場規模は2400億円と、先行する英国(約5・7兆円、定義は異なる)の23分の1にすぎない。

「ホームレスを使って商売?」と言う人もいるだろう。佐野氏は「こんなものもありか、と思ってもらえればいい」と言う。「100%失敗する」と言われながら始めた会社をなんとか黒字化させたBI。「課題に立ち向かう社会性とともに、新しい発想で仕事を、おカネを作る革新性--それがSBの存在意義」(谷本氏)である。社会性と革新性、見方を変えれば、これこそ今の企業経営者に欠けているものではないだろうか。

(野津 滋 =週刊東洋経済)

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