中国の関心は「南シナ海」から「台湾」に移った 独立派の圧勝に警戒
人民解放軍とつながりがあり、定期的に幹部と会っているという北京に拠点を置く中国人の関係筋はロイターに対し、今回の台湾の選挙は中台関係、中米関係にとって「広範囲な」結果をもたらすと語った。
「今後起きることを非常に懸念している。状況はもっと悲観的になる」と、匿名を条件にこの関係筋は述べた。
蔡氏の総統選出は、中国の習近平国家主席にとってばつの悪いことでもある。習氏は昨年シンガポールで、馬氏と1949年の分断後初の歴史的会談を果たしており、台湾独立派をけん制していた。
ミサイル実験
1949年以降、中国と台湾の間には3回衝突の危機が訪れている。直近では1996年の台湾総統選の前で、中国は台湾に近い海域でミサイル実験を行った。中国が独立派とみていた李登輝氏の当選を阻もうと意図したことだったが、同選挙で李氏は圧勝した。
民進党の陳水扁氏が総統を務めた2000─08年も、中国と前向きな関係を維持しようとした同氏ではあったが独立を主張する言動のせいで、中台関係はひどく悪化した。
今回、総統選と同時に実施された立法院(国会)選挙でも、民進党は過半数の議席を獲得した。これにより、政権運営をより自由に進められるだろう。
どのみち、中国は台湾に圧力をかけるのに刀を交える必要はない。台湾にとっての最も重要な貿易相手国かつ投資先として、中国はすでにあらゆる経済カードを握っているのだから。
「台湾は国際社会のサポートなくしては生き残れない。なぜなら、われわれの敵は巨大な中国なのだから」と、元台湾外交部の高官で現在は台湾民主基金会のシニアフェローを務めるマイケル・カウ氏は語った。
(Ben Blanchard記者、Faith Hung記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
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