「大阪環状線の新車」ドア数減らして大丈夫? ホームドア導入に弾みでも混雑対応に不安

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2014年2月に大阪環状線で行われた、3ドア車置換え実験の様子

だが筆者が見た限り、ホーム上の混雑はひどくなった印象を受けた。というのも、4ドア車の場合、各扉前に2列で並んだとすれば1両で8列ができるところ、3ドア車の場合は1両で6列となり、必然的に各列が長く伸びる。

もともと大阪駅では朝ラッシュ時には階段前で待たされるほどホームが混雑しており、人の動きが交錯することで拍車がかかった感がする。

さらに気になるのは、休日のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の来園客だ。映画「ハリー・ポッター」のアトラクションなどが大人気となり、史上最高の来園者数を更新中のUSJだが、大阪環状線はそのアクセスを一手に引き受けている。大きな荷物を持った家族連れやグループが多く、乗降に手間取る姿を休日によく見かける。ドア数の少なくなった新型車両で対応できるのか、不安が残る。

4ドアに対応できる方式も

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六甲道駅に設置された昇降式ロープ柵。3ドア・4ドア双方に対応するため、支柱の間隔が工夫されている

3ドア車導入の効果として挙げられた「ホームドア導入」についても気になる点がある。JR西日本では現在、東西線の北新地・南森町の2駅で可動式ホーム柵タイプを、東海道本線の六甲道駅で昇降式ロープ柵タイプを設置しており、2016(平成28)年には高槻駅の新ホームでも昇降式ロープ柵タイプが導入される。

この昇降式ロープ柵タイプはJR西日本がメーカーと共同開発したもので、4ドア車・3ドア車のいずれにも対応できる仕組みになっている。最初に述べた「ドア数が異なる車両に対応する2つの方法」の残る1つがこれだ。

つまり、新型車両を4ドアにした場合でも昇降式ロープ柵タイプの導入は可能で、「ホームドアを導入したいからドア数を統一する」という理由は、JR西日本のこの流れと矛盾するのだ。これについてJR西日本は「現在各駅で設置している昇降式ロープ柵タイプは、いずれも試験的な設置の意味合いが強く、開発中でもあるため、大阪環状線への導入については、どのタイプにするかも含めて検討中」としている。

ホームドアの設置拡大は、安全面から急務である。導入が遅れている関西で、大阪環状線と323系がその契機となるのかもしれない。3ドア車の導入が決まったからには、乗客誘導などソフト面も駆使して、より安全で利用しやすい大阪環状線になることを期待したいところだ。
 

伊原 薫 鉄道ライター

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いはら かおる / Kaoru Ihara

大阪府生まれ。京都大学交通政策研究ユニット・都市交通政策技術者。大阪在住の鉄道ライターとして、鉄道雑誌やWebなどで幅広く執筆するほか、講演やテレビ出演・監修なども行う。

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