台湾の新興政党は、何を目指しているのか 緑党社会民主党連盟主席が語る政治理念

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──緑党社会民主党連盟を見ると、中国との関係、いわゆる両岸関係にはそれほど関心を持っていないように思える。台湾は中国とどのような関係を維持すべきか。

両岸関係に対する立場は非常に明確だ。台湾は一つの主権独立国家であるということだ。今後も国際的により認められ、参加できるようにすることが必要だ。私たちの連盟の主な幹部は、ひまわり学生運動の時にNGOに参加していた。ひまわり学生運動が起きるきっかけとなった「両岸サービス貿易協定に対し、私たちが手続きの公開・透明性の確保を要求した。また、TPPには反対する。サービス貿易協定と貨物貿易協定のような、中国との自由貿易の拡大に対して、態度は保留している。

自由貿易は再度検証すべき、経世在民を重視

──笵主席自身も、また緑党社会民主党連盟も自由貿易に反対しているのか。

自由貿易政策は、再度検証すべきだろう。誰が利益を得るのか、誰が損害を被るのか、そして食品安全や農業、そして労働者の権益に対し自由貿易は否定的な効果を招くのかなど、きちんと検証すべきだ。これまで、国民党・民進党の二大政党は、自由貿易に対して徹底的に検証しなかった。現在、欧州など多くの国家が自由貿易に対し反省する声が聞こえている。だが、台湾ではこれが知られていない。私たちがこのような立場から、国民と対話してみようと考えている。

──台湾は今、経済分野で中国に対する依存度が高まっており、この現実を不安に思う声も多い。この現状について、緑党社会民主党連盟はどう対応するか。

これは、台湾経済が移行期にあることに大きな関係があると思う。われわれの民主主義と政治において、両岸の財閥(大企業)の影響力が強まっている。台湾は継続してより安い原価(コスト)だけを追求すれば、台湾は中国への依存度がさらに高まるほかない。経済に対する考え方を変えるべきだ。経済とは経世済民、「最大利潤のためのものではなく、より多くの人たちによりよい生活ができるようにする」という言葉だ。労働者はよりよいサラリーを受け取り、私たちが口にする食品は安全で、地元の産業も栄えるのが、台湾が進むべき道だと考える。中国に行って、より安いコストだけを追求するのではない。

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