鉄道員養成の名門校に意外なライバルが登場 男女共学化した「岩倉高校」の就職事情とは?
運輸科のカリキュラムでは、高校生として必要な知識である英語や国語などの普通科目を約7割学習し、残り3割が鉄道や観光などの専門科目である。
20年以上前の授業カリキュラムでは、「客貨車」「鉄道施設」など、かなり専門性の高い授業に特化して授業が行われていた。現在では、そこまでのボリュームはないものの、列車の運転の仕組みやルールを学び、運転シミュレータを活用する「運転業務」、運賃計算の基本を学ぶ「営業概論」さらに、鉄道車両の構造や施設の構造などを学ぶ「鉄道概論」など、総合的に鉄道に関する学習をしている。
普通科でも鉄道や観光に関する学習が可能な「チャレンジ6」という自由選択プログラムを設け、学生のさまざまな興味・関心に対応している。
2学年時には、科やコースを問わず希望者を対象とした「鉄道実習」というインターンシップを長年に渡り実施してきている。これは、夏季・冬季にJR東日本やJR東海、東京地下鉄、そして2014年度からは東武鉄道・小田急電鉄の協力を仰いでいる。
具体的には駅業務の仕事を体験することで職業意識への興味・関心を持ってもらうことが目的。ありがたいことに、鉄道業界では本校卒業生が数多く活躍しており、さまざまな職場において指導やアドバイスをいただいている。
地元の「上野駅」も教育の場に
ほかにも、上野新幹線第二運転所への職場見学会、新幹線運転士と生徒による意見交換会も実施している。ここでは、働くことの厳しさや仕事に対してのやりがいや誇りなどについて具体的な話を通じて教えていただき、鉄道へのあこがれだけでは務まらない責任感についても同時に学ばせていただく機会となっている。
また「上野」という学校の立地条件を生かして、吹奏楽部による上野駅構内でのコンサートや鉄道模型部によるジオラマ体験運転会も実施している。また、上野の魅力を伝える「上野が、すき。」というWebサイトにて放送部が通信員として活動するなど、上野駅や周辺地域を教育の場として活用させていただいている。
運輸科の校外学習では、京成電鉄のご協力により車両基地見学を実施。普段は目にすることができない基地内での仕事の様子を見学することで、職業に対する視野を広げる絶好の学習機会となっている。
単なる鉄道好きに終わることなく、仕事という角度から鉄道を見る機会を作ることで、覚悟を持った進路選択の機会になる。ここでも卒業生が案内役を務めていただくなど、世代を超えた交流も行われている。その後、上司と部下という関係になることも少なくない。
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