鉄道員養成の名門校に意外なライバルが登場 男女共学化した「岩倉高校」の就職事情とは?
2015(平成27)年度の鉄道系進路内定先としては、JR東日本・JR東海などで17名。
私鉄では京急ステーションサービス・京急電鉄で22名、東武ステーションサービス10名など。また、関東鉄道7名など地方鉄道を含めて130名程の生徒が内定をいただいた。2015年度は例年よりも鉄道会社への採用数が多いように感じた。
ここ20年ほどで高校生の鉄道就職事情は大きく変化している。JRが民営化後に高卒採用を再開した当初は、現業職は高卒、総合職は大卒と明確に分かれていた採用区分が、近年では採用形態の変化により、現業職でも大卒・大学院卒の採用が増加し、高卒の割合が減少している。大学入学者の増加により、高卒のみの採用では人材の確保が難しくなってきたという採用側の理由もあるだろう。
大学生とも就職時に競合する
高卒採用試験が始まるのは大卒・専門学校生の就職活動が終わってから。しかも、大卒・専門卒のように1人で何社も受験・内定を得ることは高校生にはできない。1人の学生は1社しか応募できない「一人一社制」という採用ルールがあるためだ。
現在では大量採用する企業も少なくなり、鉄道企業に就職することは簡単ではないというのが実情である。それでも、東京都交通局などの公営企業受験の場合は、社会人経験者と同じ採用試験を受験して、毎年合格者が出ている。高校生でも社会人経験者と同じ試験を受けて合格することは、受験を希望している1学年下の後輩にとって大きな励みとなっている。
最近の傾向としては、技術職の高卒採用に積極的な企業が多くなっていることである。駅や乗務員など、普段から仕事の様子を目にしやすい職種の人気は高いが、その反面、技術職は志望者が少なくなりがちである。
その対策として、さまざまな鉄道会社が工夫をしている。たとえば、希望職種を2つ申告し、企業側が適性や人員計画によって職種を決定する。また、「鉄道総合職」という名称の採用枠で、駅や乗務職のみならず、車両整備や施設管理などさまざまな職種を経験していくという形態などである。
このような背景には、実業系高校が減少しているとともに、普通科における進学率も一段と高くなり、高卒で専門課程に限定した技術職採用が難しくなっていることが背景として考えられる。
運転や整備において、ワンマン運転や安全装置の充実、メンテナンスフリーの機器の導入など、この数年で鉄道業界での技術の向上は、めざましく進歩している。その一方で、今後は労働人口の減少、東京オリンピック開催などによって人材の適正配置が困難になる可能性もある。
日本の鉄道には「プロ意識」と「技術伝承」が脈々と伝わっており、これが今日の日本の鉄道・運輸業を支えていると言っても過言ではない。つねに安全・安定輸送を第一に求められる中で、技術の伝承、そして継続的な雇用と安定した労働環境の構築の継続を願うとともに、これからは日本国内はもとより海外の鉄道でも活躍できる「人財」を育てていきたい。
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