ETC特需も笑えない、カー用品店業界の窮状
受け身体質の限界
ただ、現在の状況はあくまで特需にすぎない。矢野経済研究所の推計では、カー用品店の国内市場は2005年以降1~2%の微減傾向にあり、市場は成熟している。若者の車離れでタイヤ、マフラーといったチューンナップ品の需要が減退。また高性能のカーナビなども新車への標準装備が進んでおり、カー用品店での売れ行きは鈍化している。こうした環境変化によって各社の業績も落ち込んでいる。オートバックスの09年3月期の営業利益は2年前と比べ約4分の1。イエローハットに至っては今期2期連続の営業赤字となる見通しだ。
大和総研の杉浦徹アナリストは「市場成熟化を乗り越えるには、PBでヒット商品を仕掛けて差別化するなど、付加価値を高めていくような体質づくりが必要」と指摘する。だがカー用品店業界は過去を振り返っても、こうした努力の跡はうかがえない。むしろ00年のチャイルドシート義務化や、運転中の携帯電話の取り締まり強化に伴うハンズフリー機器の特需など、政策頼みの成長が多かった。業界には今後、受け身体質から脱した独自の成長戦略が不可欠となる。
(西澤佑介 =週刊東洋経済)
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