関西汽船は高速道路値下げに抗しきれず1株63円の商船三井のTOBに賛同。TOB成立後は上場廃止の可能性大
関西汽船株を33.62%保有する筆頭株主の商船三井<9104>が、3月18日に関西汽船株のTOB(株式公開買付)を表明。関西汽船は、即日、賛同意見を表明した。買い付け期間は3月19日~4月27日(延長請求がされた場合は5月1日まで)。TOB後の商船三井の保有株比率の下限は66.67%で上限設定はなし。下限を超えた場合にTOBは成立。成立後に全部取得条項で全株取得。関西汽船は完全子会社化されて上場廃止となる公算がある。
TOB価格は1株63円。プレミアムは3月17日の終値59円に対して6.78%、3月17日までの過去1カ月間の平均株価60円に対して5%、過去3カ月間ではわずか1.61%と低い(平均株価62円)。過去6カ月間ではマイナス4.55%と逆プレミアムとなっている(同66円)。
完全子会社化後は、商船三井の100%子会社・ダイヤモンドフェリーとの事業統合や経営統合を視野に入れてグループ内再編を目指す。すでに関西汽船とダイヤモンドフェリーは共同運航を実施しコスト削減を図ってきたが、もう一段踏み込むためには関西汽船の完全子会社化が必要と商船三井が判断。これに関西汽船が呼応した。
背景にあるのは、第2次補正予算に盛りこまれた地方高速道路の上限1000円への料金引き下げ。関西汽船は西日本のフェリー9社で国土交通省に支援を要請。国土交通省は港湾使用料の引き下げに前向きだが、ガソリン代を含めてもなお高速道路のほうが価格競争上圧倒的に優位で、急激な環境変化に単独では対応できない状況に陥っていた。
関西汽船は経営不振が続き、04年度に商船三井と三井住友銀行に対して第三者割当増資を実施するとともに、三井住友銀行による債務免除を受けていた。05年12月期に2000万円の黒字になったのを例外に、営業利益は99年12月期から赤字続き。経常利益、最終利益は98年12月期から赤字続きで、商船三井がいつ本格的な経営テコ入れに踏みこむのかが注目されていた。
(山田 雄一郎)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2008.12 11,677 -719 -778 -286
連本2009.12予 9,400 -600 -650 -650
連本2010.12予 9,200 -500 -550 -550
連中2008.06 5,636 -692 -723 -241
連中2009.06予 4,500 -450 -470 -480
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1株益¥ 1株配¥
連本2008.12 -7.3 0
連本2009.12予 -9.5 0
連本2010.12予 -8.0 0
連中2008.06 -6.1 0
連中2009.06予 -7.0 0
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