「Amazonやらせレビュー」中国企業の呆れた手口 高評価や「Amazonのおすすめ」を信じてはダメ

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さらには推奨品であることを示す「Amazon’s Choice」も、見たことも聞いたこともない「OKIMO」というブランドの製品だ。もちろん新興の人気メーカーかもしれないが、後述するように極めて怪しい。

執筆時点で有名メーカーの製品が登場するのは前述のソニーWF-1000XM3が15位で表示され、次に知られたブランドが登場するのは次ページにめくって22位に登場するビーツのPowerbeats Pro。中堅どころのブランドでGLIDiCが、広告を入れてスポンサープロダクトとして25~26位ぐらいに表示される程度だ。

世の中で評価されている商品のほとんどが埋没し、検索結果に現れてこないのはどういうことなのか?

Amazonのアルゴリズムを汚染する海外出品者

アリババが提供している通販アプリ「Ali Express」で同じキーワード「ワイヤレスイヤホン」を検索すると、そっくりの製品が多数出てくることがわかる。それも数百円~1500円といった価格レンジで、同じ製品でも圧倒的に安い。

この価格こそが、深圳地区で調達した汎用製品に独自ブランドをマーキングしただけの製品の本当の相場と言えるだろう。

たとえば前述のAmazon’s Chioce獲得商品を販売するブランド「OKIMO」を同様に検索すると、同社がAli Expressにおいてほとんど同じと思われる製品を1068円で販売していることがわかる。さらに、Amazonでは販売していないが、よくあるAirPodsのコピー商品といった出自の怪しい製品も多数あった。

これらからわかるのは、Amazonでの商品検索結果が、これらの製品を販売するファブレスメーカーによって“汚染”されているということだ。検索順位を操作するために工夫することに違法性があるわけではない。Amazonが設定したビジネスルールのもとに行われているからだ。

しかし消費者の目線からみると、本当の推薦商品が探しにくい状態であり、良心的な製品をAmazonで販売している出品者たちとの出会いの機会が損なわれているという見方もできる。

こうしたオンラインショッピングサイトにおいて、検索上位や推奨品となれるかどうかはビジネスを行ううえで極めて重要な分かれ目だ。“指名買い以外”の売り上げは、検索結果で上位に来るかどうかで決まる。

このような惨状とも言える状況が生まれている理由は、Amazonのアルゴリズムに入力されるデータが、ある意味、“汚染”されているからだ。

Amazonでの高評価を一部のブランドが“買っている”ことは、もはや秘密でもなんでもない。商品を出品者自身が出庫してレビューを書いてもらうギフティングはもちろん、Amazonギフト券などを報酬としたレビュー依頼を組織的に行うことで、評判を作っている。

かつては怪しい日本語のレビューが並んでいたが、現在は日本人が書いていると思われるレビューも多い。Amazonはレビューを書いたユーザーの場所を記載する対策を取っているが、今やその対策も無意味だろう。やらせレビューはどんどん巧妙化している。

次ページ消費者は商品ジャンルで検索を行うが…
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