不器用な子が「暴走する大人」になる1つの経緯

「生きづらさ」を見逃された子どもの"その後"

一般集団と明確に区別できない
多くの支援が必要にもかかわらず、より要求度の高い仕事を与えられる
失敗すると非難され、自分のせいだと思ってしまう
自らも「普通」であることを示そうとして失敗する
必要な支援の機会を失うか、拒否する
所得が少ない、貧困率が高い、雇用率が低い
運転免許証を取得するのが難しい
栄養不足の比率や肥満率が高い
友人関係を結んで維持することが難しい、孤独になりやすい
支援がないと問題行動を起こしやすい

これは、「生きづらさ」を持った子どもたちがそのまま大人になった姿ではないでしょうか。不器用な子どもたちは、成功体験が少ないため、なかなか自信を持てません。そのため彼らの心はガラスのように繊細で、傷つきやすい存在でもあります。

そんな大切に守ってあげないといけない子どもたちが、学校や社会の中で気づかれないどころか、反対に傷つけられ、いじめ被害にあったりして、引きこもりや心の病になったり、場合によっては犯罪者になったりしてしまうケースもあるのです。

「生きづらい子ども」を見逃さないために

私が勤務していた少年院はまさにそういった少年たちの集まりでした。「こんなひどい状況が続けば非行化しないほうがおかしい」といった過酷な状況下にあった少年たちもいたほどです。

学校で気づかれないことと同様に恐ろしいのは、大人が心配して病院を受診させ、診察や検査を受けても、医師から「問題ありません」と言われた場合です。

一度「問題がない」と診断されてしまうと、教師や保護者はそれを信じます。すると通常の子どもたちと同じ扱い・評価をされてしまいますが、実際にはなかなかついていけません。

そういった子どもが問題を起こすと、「やる気がない」「怠けている」「ずる賢い」「気を引きたい」「親の愛情が足りない」といった残酷な判断が下されてしまうのです。

非行少年たちも、出院後は社会で真面目に働きたいという気持ちを持っています。そこで支援者は、「やる気があるなら仕事を紹介する」と、期待して仕事を紹介します。

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しかし、たいていが1カ月、長く続いても3カ月くらいで仕事を辞めます。やる気はあっても、働き続けられないのです。なぜなら、これまでに述べた通り、認知力の弱さ、対人力の弱さ、身体力の弱さなどから、言われた仕事がうまくこなせない、覚えられない、職場の人間関係がうまくいかない、時間通りに行けないなどのトラブルメーカーとなり、雇用主から何度も叱責を受けて辞めてしまうのです。

職がなくなったあとは……お金がなくなるので、生活ができません。その結果、簡単にお金が手に入る窃盗などをして再非行に走ってしまうのです。

つまり、「トラブルを起こす大人」は、実は「生きづらい大人」であり、かつて「生きづらかった子ども」だったかもしれません。「生きづらい大人」を相応の支援につなげるとともに、今現在の「生きづらい子ども」たちへの理解を進め、誰もが適切な支援を受けられる社会を実現させるべきだと考えます。

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