プロ野球ファンの間で、よく議論になる話題がある。高校、大学、社会人のどのタイミングでプロ入りすれば、成功する確率が高いのか、ということだ。
獲得する球団の立場に立つと、そもそも3者は評価軸が異なる。高校生には将来性が不可欠で、大学生と社会人には即戦力であることを求めているのだ。
たとえば2013年のドラフト会議で楽天は、1位で桐光学園の松井裕樹、2位で常総学院の内田靖人と、高校生を上位で獲得。その理由について、立花陽三社長はこう説明する。
「僕らの仮説では、野手は25~26歳、投手は23~25歳がピーク。極端に言うと、大学生のピッチャーはほぼ完成されていて、伸びしろがあまりない。ましてや大卒の社会人だとすでにピークにあり、そこからプロで育てるとなると、失敗したときのリスクがあまりにも大きい。リスクとリターンが全然合っていないので、年に1回しかないドラフトでは、基本的には高校生に投資すべきだというのが僕の考えです」
楽天が高校生を獲ろうと考えるのは、一般企業が新卒採用を重視するのと同じ論理だ。高校生を獲得すると、大学生より4年、社会人より最低でも3年早く指導できるメリットが球団にはある。プロの方法論で高校生を鍛えれば、将来、戦力になる可能性を高めることができるのだ。
大学生や社会人に求められるのは精神力
一方、大学生や社会人が成功するためには、“セカンドチャンス”をモノにしようとするハングリースピリットが求められる。誤解を恐れずに言えば、彼らは高校を卒業するタイミングで1度、プロ入りのチャンスを逃している。高校生より入団が遅れるハンディを覆すためには、何より自立心が必要だ。
この点で優れているのが、2013年のドラフトでオリックスに1位指名された吉田一将。青森山田高校、日本大学での潜伏期間を経てJR東日本で才能を開花させた右腕投手は、今季、新人王の有力候補と見られている。
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