ドローンは航空機にとってかなり「脅威」だ 規制なしでは衝突事故も時間の問題?

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ドローンを支持する人々は、FAAがドローンの規制を進めようとする中で、事態を大げさに伝えていると批判する。ドローンよりも、パイロットを狙って照射されるレーザー光線のほうが、より悪意があるし危険だと指摘する向きもある。

パイロットの代表者らによると、航空機に向けてのレーザー光線の照射はこれまでに5000件以上の報告があり、その数は過去数年間で増加したという。また、FAAによると、鳥が航空機に衝突した回数は昨年1年間で1万3000回にのぼり、これは航空機の安全性を脅かす要因としてよく知られている。

模型飛行機の愛好家が集まる模型飛行機アカデミーは、パイロットが回避行動を取らなければならなかったような、航空機との近接遭遇に関わったドローンは本当に少数だという。FAAも、ドローンと航空機の衝突が起こりかねなかった事態はわずか2件しか認識しておらず、そのどちらも裏付けは取れていないという。

ドローンの航路への侵入は時間の問題?

しかし、ドローンのメーカー、エアロ・キネティックのハルシー・スミスCEOは、ドローンが誤って飛行機やヘリコプターの航路に侵入する事態が発生するのは、統計的にみれば「時間の問題」だと言う。「ドローンが本当はどれだけ危険か、一般の人々は分かっていない。そうしたリスクについて我々が誠実に話さなければ、業界は何十年も後戻りしてしまう」。

FAAは12月14日に、ドローンの所有者に登録を義務付けることを発表した。また、商業用ドローンの運用者向けの新たな規制も策定しつつあり、来年には完成する見込みだ。その新規制が採用されれば、ドローンが500フィート(152メートル)を超えて飛行することや、時速100マイル(160キロメートル)を超えることが禁じられ、またドローンを飛ばせるのは視界の範囲内だけとなる。

スミスCEOは、ドローンの登録は不可欠の第一歩だが、それだけでは不十分だと言う。彼は、ドローンが安全に飛行できると証明するために、ドローンの耐空性を認定するシステムを立ち上げるべきだと主張する。そして、追跡用の発信機や衝突回避システムなどの高価な装置を搭載させることも検討してはどうかと言う。

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