三菱UFJの苦悩、モルガン・スタンレーへの出資で損失
これに倣い、モルガン・スタンレーも報酬方法を変更し、株式を対価にした。株式は市場から買い付けるのではなく、報酬が与えられた時点で発行される。つまり、会社側が自己株取得といった措置を別途取らないかぎり、株式の希薄化が続くことになるだろう。
優先株のほうがお得だった?
モルガン・スタンレーは08年秋のリーマン・ブラザーズの経営破綻後、第2のリーマンとの連想から株が売り込まれ、資金繰りに行き詰まった。ゴールドマン・サックスとともに、銀行持ち株会社となることを申請してFRBから資金供給を受けたが、当時は潰れるのは時間の問題だとみられていた。
これを救ったのが90億ドルの巨額出資をしたMUFGだ。MUFGは78億ドルを優先株で保有し、昨年、全額普通株に転換した。普通株にこだわったのはMUFG側だ。出資当初から、単なる純投資案件ではなく、戦略的な提携関係を目指していたためだ。出資後にモルガン・スタンレーの株価は上昇し、MUFGは前期決算で負ののれん2906億円を計上するなど、成功案件に見えた。
しかし、今後には疑問符がつく。欧米の金融機関に対する規制は強化されるばかりだ。厚い資本が求められる一方、自己売買が制限されるなど、収益は細る傾向にある。