三菱UFJの苦悩、モルガン・スタンレーへの出資で損失

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11年のモルガン・スタンレーの普通株主に帰属する最終利益は20・67億ドルだった。仮に12年も同水準の利益が出ると、MUFGに帰属する利益は年間350億円程度になる。だが、前述の232億円の損失が足を引っ張るため、最終的にはわずか120億円程度しか残らない。

収益の多寡に翌期の株式発行による社員報酬が連動すると考えれば、今後もあまり期待できない。普通株に転換せず優先株でそのまま保有していれば、1割の配当が得られ、税金を勘案しても、純益寄与は360億円程度と大きかったはずだ。たしかに、陣頭指揮を執ってきた三菱東京UFJ銀行の平野信行頭取は事業提携によってビッグディールの獲得という成果もあげているが、今後、どの程度の収益規模が期待できるのだろうか。

株式のさらなる希薄化でモルガン・スタンレーへの持ち分比率が20%を切れば、持ち分対象から外れてしまう。株式追加取得のための資金拠出をするなどという事態にはよもやならないだろうが……。モルガン・スタンレーとの交渉力が問われる。

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(大崎明子 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済2012年9月8日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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