2016年夏に衆院解散・衆参同日選はあるのか 安倍政権の明暗を分けるものは?

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2014年の「アベノミクス解散」による選挙では投票率が低く、自民党が圧勝した(日本雑誌協会代表撮影)

北海道5区補選と春先の経済情勢が判断材料

さまざまな条件を考慮して、安倍首相が解散に踏み切るかどうかを決断するのは、春の大型連休の前後だろう。4月24日投票の衆院北海道5区の補欠選挙の結果も大きな判断材料になる。町村信孝前衆院議長の死去に伴うこの補欠選挙には、自民党から町村氏の娘婿が立候補する予定。野党からは民主党系の女性候補が出馬し、共産党も支援する構えだ。与野党一騎打ちの選挙で自民党が敗れるようなことになれば、解散機運は一気に遠のくだろう。

加えて、解散の判断を大きく左右するのは春先の経済情勢である。アベノミクスは、一本目の矢の金融緩和が効果を発揮したものの、目標の物価上昇率2%には及ばず、息切れ状態。二本目の財政出動にも限界があり、三本目の成長戦略は目立った成果をあげられなかった。安倍首相は2015年に「新三本の矢」を打ち出したが、GDP(国内総生産)600兆円などは「矢」ではなく「的」だ。経済再生の道筋は依然として見えてこない。

2016年春先になっても、国民にとって、景気回復の実感が薄く、格差拡大が指摘されているようなら、安倍首相が衆院解散に踏み切れるような環境とはいえない。逆に民主党などは「経済失政」を指摘し、勢いづくだろう。2016年政局の天王山である参院選に向けて、明暗を分けるのは経済情勢である。

星 浩 政治ジャーナリスト

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ほし ひろし / Hiroshi Hoshi

1955年生まれ。東京大学教養学部卒業。朝日新聞社入社。ワシントン特派員、政治部デスクを経て政治担当編集委員、東京大学特任教授、朝日新聞オピニオン編集長・論説主幹代理。2013年4月から朝日新聞特別編集委員。2016年3月からフリー。同年3月28日からTBS系の報道番組「NEWS23」のメインキャスター・コメンテーターを務める。著書多数。『官房長官 側近の政治学』(朝日選書、2014年)、『絶対に知っておくべき日本と日本人の10大問題』(三笠書房、2011年)、『安倍政権の日本』(朝日新書、2006年)など。

 

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