2016年は、「新幹線が激動する1年」になる ついに3月、新幹線が北海道の大地を走る

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さらに与党内からは、敦賀から小浜、舞鶴を経て、京都を経由して、けいはんな学園都市、天王寺から関西国際空港に至るという案まで出てきた。これ以上ルートが複雑になれば、コストはさらに膨らむ。

与党は検討委員会をスタートさせており、今年5月をメドに候補を絞り込む予定だ。2045年にはリニア中央新幹線の大阪延伸も控える。リニアも北陸新幹線も、東海道新幹線に続く東京─大阪間のバイパス機能を果たすという。だが、東京─大阪間に新幹線が3本も必要なのか。将来を見据えた議論が必要だ。

フリーゲージは車両試験が正念場

フリーゲージ新幹線は2022年度の投入が予定されている(撮影:尾形文繁)

2022年度の開業を目指す九州新幹線・長崎ルートの動きも慌ただしくなってきた。

このルートは一部で在来線に乗り入れるため、異なる軌間を直通走行できるフリーゲージトレインの導入が予定されている。目下、鉄道・運輸機構が開発中だ。

実験は1999年からスタートし、2014年4月には営業仕様に近い第3次車が登場した。このとき、2022年度の開業に向けたタイムスケジュールも発表された。

まず、2014年10月から2017年3月まで耐久走行試験を行う。その結果を踏まえて量産先行車を開発し、量産化に向けた課題洗い出しを行い、営業車両の量産に移る。量産先行車と量産車の製造には5年程度かかるとみられる。順調に進めば、2021年度中に営業車両の製造と訓練運転が終わり、2022年度から営業運転を始める。

ただ、2014年10月19日にスタートした走行試験は、わずか1カ月でつまずいた。11月29日に車両の走行部分に不具合が判明し、試験は中断。1年にわたる原因調査を踏まえて、昨年12月に国土交通省が不具合の原因と対策を発表した。

さらに調査・分析を進めており、順調にいけば、今年後半から走行試験を再開する。仮に10月に再開できたとしても、当初計画から2年遅れることになる。トラブルの発生前、政府・与党は「2022年の開業時期をできるだけ早める」としていたが、この状況では前倒しなど無理だろう。

沿線の県や自治体はあくまで予定どおりの開業を要望しており、「2022年春の量産先行車を使った暫定開業」という案も出ている。これは、不具合対策を施してからの走行試験が無事終わるかどうかにかかっている。

だが何より、それ以前の問題として、走行試験の再開時期が遅れれば、2022年度の開業という目標は絵に描いた餅に終わってしまう。その意味で、2016年は長崎ルート開業のカギを握る1年といえる。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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