新日本監査法人、遅すぎた「トップの辞任」 金融庁処分で、上場企業は監査法人交代も

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だからこそ、紹介した委員会設置会社に移行している上場企業では、「3月から4月に向けて監査委員会が意見を集約」し、取締役会への議案提出を準備していることになる。

そうした深刻な状況が誘発されかねない事態であることに、新日本の経営陣は思いを馳せていたのかどうか。

金融庁の行政処分を受けた12月22日、英理事長は全社員に向かってメッセージを発している。「本処分を厳粛にかつ重く受け止め、早急に改善策をまとめて実行していきます」と語り、「今が、未来に向かって、法人のガバナンス、品質管理体制、人事制度等を抜本的に改革し、法人(注、新日本のこと)を変える絶好のチャンスです」と訴えた。

間違ったメッセージではない。だが、振り返るとどうか。公認会計士・監査審査会から問題点を繰り返し指摘されたにもかかわらず改善せず、東芝問題が深刻化するさなかにあっても、自浄作用が働いたと外部から受け止められるような改善努力がいち早く起きなかったのはなぜか。

遅すぎた改革のメッセージ

新日本監査法人が入居する都内のビル(撮影:尾形文繁)

もし、2015年夏ごろから自らの努力によって徹底的な改善策の立案が行われていたら、監査先企業に対して、新日本は再任決定を得られるだけの説明ができていたかもしれない。

公認会計士・監査審査会によれば、2015年9月末において、新日本監査法人の被監査会社数は任意監査828社を含めて合計4123社を数える。そのなかには、日本を代表する優良企業も少なくない。

その一角が「当社の信用力を維持するうえでも監査法人の交代は必要」という決断を下せば、右に倣えの動きが企業の間で起きかねない。少なくとも、その動きは水面下で起き始めている。

新日本の経営陣は監査業務に不可欠である厳格なリスク・アプローチに基づくシリアスな自己分析と説得力のある改善行動が求められている。さもなくば、高いツケを払うことになる。

浪川 攻 金融ジャーナリスト

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なみかわ おさむ / Osamu Namikawa

1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカー勤務を経て記者となる。金融専門誌、証券業界紙を経験し、1987年、株式会社きんざいに入社。『週刊金融財政事情』編集部でデスクを務める。1996年に退社後、金融分野を中心に取材・執筆。月刊誌『Voice』の編集・記者、1998年に東洋経済新報社と記者契約を結び、2016年にフリー。著書に『金融自壊――歴史は繰り返すのか』『前川春雄『奴雁』の哲学』(東洋経済新報社)、『銀行員は生き残れるのか』(悟空出版)などがある。

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