新日本監査法人、遅すぎた「トップの辞任」 金融庁処分で、上場企業は監査法人交代も
2015年12月22日、金融庁が新日本監査法人に下した懲戒処分をめぐって、企業社会が揺れている。
東芝などの会計監査を担ってきた新日本に対しては、多くのメディアが「課徴金が数十億円」、「厳しい業務改善命令」等々、単発の行政処分が下されると報じるなか、課徴金21億円、3カ月の新規業務の受付停止、業務改善命令の3点セットという過去にはなかった重い行政処分が下された。
同時に、東芝の監査に関与した7人の公認会計士には1カ月~6カ月の業務停止措置が実施された。
ついに新日本の理事長が辞任を表明
これを受けて、新日本はガバナンスや組織改革と同時に、英公一(はなぶさ こういち)理事長が2016年1月末に辞任することを発表した。ただ、これで終わりそうにない。
それは金融庁や、監査の品質管理や公認会計士の処分など、調査・審議を行う公認会計士・監査審査会が求めている改善要求の高さからだけではない。資本市場の冷徹な歯車が回り始めているからだ。
新日本が監査先である東証一部上場の製造業で社外取締役を務めている人物は、「私と、もうひとりの社外取締役で話し合ったが、年明けの取締役会では監査法人の適正についての議論を提起せざるを得ないという結論となった」と話す。
簡単に言えば、このまま、新日本に会計監査を任せていてよいのかどうかという問題提起をするという話だ。「株主に対する責任を果たす上で、監督官庁から“著しく不当な運営”と指弾された監査法人に任せ続けることが妥当なのか。きっちりと議論しないといけない」と、その社外取締役は言う。
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