大衆迎合政治が日本を蝕んでいる--『反ポピュリズム論』を書いた渡邉恒雄氏(読売新聞グループ本社会長・主筆)に聞く

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──青年将校たちが口ずさんでいたといわれる……。

彼らはこの歌を歌いながら五・一五事件、二・二六事件を起こす。10節ある歌詞の中に、「財閥富を誇れども社稷(しょしゃく)を思ふ心なし」とある。権力は富に驕り国家を思っていないとして、彼らは「維新」へと動く。

普通の人は維新という言葉を聞くと明治維新を連想するが、僕は、子ども心に記憶が鮮明な昭和維新を思ってしまう。今、維新といえば「善」の範疇でとらえられているが、そこが僕の世代とのずれだ。だから、「橋下徹さん、大阪維新と昭和維新はどう違うの」と言いたくなる。

──橋下大阪市長の国政向けの公約「維新八策」はポピュリズムの政策でしょうか。

維新八策は、いいことも言っている。民主党でも自民党でもできなかったことをやると言い、おかしいことはおかしいと改善に取り組もうとしている。

疑問を持つのは、消費税を全部地方税にせよというところ。その代わり、地方交付税交付金はいらないというが、現実的に無理だ。彼の周りのブレーンが悪すぎる。ブレーンの一人だった大前研一さんは原子力の専門家だったので橋下市長に批判的な文章を書いているが、原子力発電所を夏場だけ動かせという橋下市長の発言は、原子炉の構造に対する無知によるものだ。周りにいる人間が、人気取りのために、彼に脱原発・反消費増税と盛んに言わせようとしているのではないか。彼には優秀なブレーンを集めることが必要だ。

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