尖閣諸島めぐる日中の挑発合戦、なお着地点は見えず 日中関係のゆくえ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こじれにこじれた日中関係が、漂流を続けている。尖閣諸島(沖縄県石垣市)のうち魚釣島など3島の所有権を地主から買い取る方針を決めている東京都は、調査のための上陸を8月22日に国へ申請した。 

都は早ければ29日にも上陸したい意向だが、これまで国は政府関係者以外の尖閣諸島上陸は認めていない。その方針はこれからも変わらないとみられる。

石原慎太郎知事が、尖閣諸島のうち3島を都で買い取る方針を打ち出したのは4月中旬。出張先の米国ワシントンでのことだった。尖閣諸島は地権者と政府が賃貸借契約を結んでおり、都は1年更新の契約期限である来年3月をメドに買い取る前提で、地権者と交渉を進めている。都が3島買い取りを表明したことで、国も動かざるをえなくなった。現在は政府も地権者と交渉を進めており、国と東京都が島を奪い合うという奇妙な構図だ。

外務省高官は「尖閣諸島は日本が実効支配しており、東シナ海に領土問題は存在しないというのが日本政府の立場だ。わざわざ米国まで行って、『ここに領土問題がある』と世界に喧伝するような行為は明らかに国益を損っている」と苦り切る。

それぞれ尖閣諸島の領有権を主張する中国と台湾は敏感に反応した。政府が批判声明を出したのに加え、双方に存在する「保釣運動(中国では尖閣諸島を釣魚島という)」のメンバーが抗議活動を開始した。そして8月15日には香港の保釣運動メンバーを乗せた船が日本領海に侵入。7人が魚釣島に上陸した。 

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事