尖閣諸島めぐる日中の挑発合戦、なお着地点は見えず 日中関係のゆくえ

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日中政府とも抑制的対応

「彼らの中には中国に批判的な民主化運動の活動家も入っていた。その行動もすべて中国政府の指示だ、というのは誤解」と、中国の外交筋は語る。同時期に福建省から出発しようとした抗議船は中国当局が止めた。「こちらも抑制的に対応したのは認識してもらいたい」(同)。

対する日本側も抑制的な対応ぶりだったといえる。2010年に尖閣諸島沖で漁船が海上保安庁の巡視船に衝突を仕掛けたときは、船長を逮捕。那覇地検に身柄送致した。

日本の司法手続きにのっとって起訴されれば日本の領有権容認につながることになるとして、中国側は猛反発。レアアース(希土類)の事実上の禁輸など、なりふり構わぬ揺さぶりに出た。最終的に日本は起訴を断念したものの、あまりに強引な行動は国際社会での中国のイメージを損なった。日中の対話が不十分な中で、共に損をした取引だった。

日本側はその教訓を受け、関係省庁間でさまざまな事態への対応マニュアルを整備。今回は、04年に同様の事案があったときと同じく行政処分で強制退去させた。ここまでは、双方が自制的に対応した結果だ。

ところが、中国の「民意」はそれでは満足しなかった。19日には全国の20以上の都市で反日デモが行われた。北京や上海では大規模な動きは抑え込まれたが、広東省深センなどでは路上の日本車などが破壊される騒ぎに発展した。19日に日本の地方議員などが魚釣島に上陸したことも、火に油を注いだ。 

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