北京市民が東京都民並みに長生きできる理由

PM2.5に立ち向かう現代中国人の養生事情

苦しそうな彼らに「病院に行って先生に診てもらったら?」「抗生物質を飲んでみたら?」とアドバイスすると、「こんな小さな病気では誰も病院に行かない」「過剰に検査をさせられ、普通の風邪なのに大金がかかる」「病院って本当に死にそうな時だけ行くところ」「良い先生に診てもらうまですごく待つから診てもらう時にはもう治っているよ」「抗生物質は身体に負担をかけてしまう」等々、そんなセリフが返ってくるに違いない。

中国では、質の高い医師・病院が非常に不足しており、ほんの一部の患者しか診療を受けることができない。現在の医療制度では、病院は利益を求めるため過剰に検査をするし、自分が運営している薬局を儲けさせるため、高価の薬ばかり出すケースがある。

筆者自身の体験だが、北京にある有名な病院で朝7時から発行される予約券をもらうため、朝6時に病院に到着したが、すでに行列できていた。幸運にも当日午後3時の時間帯の予約券が取れ、ようやく4時近くに先生に診てもらうことができた。しかし、先生はたった3秒ほど私を見て「たいしたことではないからもう来なくていい」「薬を出すから。はい次」と10時間待って診療は1分間で終わったのである。診療後、薬局の行列に並び、薬をもらい、午後5時半頃にやっと病院を出た。1日がかりの大仕事であった。

大都市の病院には全国から患者が押し寄せている。前日深夜から翌日の予約券をもらうために病院前で行列して待つ人も少なくない。その患者の多くは、地方の病院に「無理」だと判断され、「北京・上海の大病院に行きなさい。大金がかかるが少し可能性があるかも」と言われ、最後の最後の希望として家の財産を売り、借金だらけになって上京した人たちである。そこまでしてきたのに3分も診てくれず、過剰な検査を受けさせられたのに病状は全然良くならないと、怒りのあまり医師に暴力を振るったり、殺害に至る悲しい事件も起きている。

日常生活に浸透する養生思想の教え

医師の立場からすれば、診療報酬が低く抑えられているため毎日多くの患者を診る必要がある。患者を満足させる余裕はない。病院の利益も重要なので、安い薬だけを出すことや無検査で済ませるわけにはいかない。このような「医患関係」(病院と患者、医師と患者の関係)は現代中国の大きな社会問題になり、お互いに不満が生じている。中国人にとって、病院に行くことや西洋薬を飲むことは、ファーストチョイスではないのだ。

さらに、現在50代以上のほとんどの人は、青春時代に政治運動に巻き込まれ大学に行っていないため、西洋医学を十分に理解するための教養が不足している。西洋医学の治療方法には器官の切除などがあるが、中国人には「恐い」と思われている。

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