テルモ、新製品は医療機器の歴史を変えるか

新宅社長が狙う"輸出入の逆転"とは?

――国が付けた1治療当たりの価格は1476万円に決まり、来年春までに発売を見込む。どのくらいの規模の事業に育てたいか。

価格には本当に感謝している。新しい技術を導入することの重要性を、よく理解して付けていただいた。最初は水面下(赤字)から始まるが、事業を続けられるぎりぎりの価格を認めていただいた。

事業規模は、今後5~10年は10億~20億円の水準だろう。iPS細胞などが使えるようになれば、もう1ケタ増える可能性がある。

――主力であるカテーテル事業の好調が続いている。

カテーテル治療は心臓の詰まった血管を広げる治療から始まった。この10年で、脚の詰まった血管の治療、がんにつながる血管に、抗がん剤を含む塞栓剤を置くがん治療、脳動脈瘤の治療など、応用展開が進んだ。当社製品は全部をカバーし、今の成長ドライバーにしている。

日本市場はまだ小さい

特に、カテーテル治療の主要機器の一つである、冠動脈ステント(血管を広げる網状の筒)の新製品が非常に好調だ。心臓の血管に留置して再び詰まるのを防ぐもので、欧州、中南米、アジアで2014年に投入し、今年10月に国内で発売した。ステント表面の薬剤の多層コーティングなど、日本の精緻な物づくりと究極の品質が評価されている。

これまで日本は治療用の医療機器の大半を輸入に頼っていた。だが、この国産の製品によって、冠動脈ステントでは近いうちに輸出入が逆転するかもしれない。国内の医療機器業界にとって、画期的なことだ。

――医療機器はなぜ大幅な輸入超過が続いてきたのか。

イノベーションで追いつけなかったことが原因だが、市場規模の差もある。米国が圧倒的な最大市場で世界の40%を占める一方、日本は10%を下回る。大きなホームグラウンドで戦う企業のほうが有利になる。

次ページ欧米企業とどう戦うのか
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