米利上げ後の株価上昇は限定的なものになる これから始まるのは「市場構造の大転換」
一方、同期間の金価格の上昇率は5割を超えており、原油については2倍以上になっている。このようにみると、今後4年間を考えれば、米国株よりコモディティのほうが、パフォーマンスが高くなる傾向がある。また米利上げ後、金や原油は利上げ時の水準からほとんど下落していない。これらの動きは、筆者が本欄で何度か解説した「株価/コモディティレシオ」でも確認できる。
このレシオは4年ごとに高安を繰り返す傾向があり、直近では2011年9月に株価のボトム/コモディティのピークをつけ、その4年後に相当する今年は「株高・コモディティ安」になっている。つまり、今回の利上げを契機に、このレシオが低下に向かう、つまり、株価上昇は限定的となる一方で、コモディティが反発に転じ、この動きは今後4年間続くことになる。
日本株を左右するドル円相場の変動
興味深いアノマリーを紹介しよう。金価格は末尾が6から9が付く年のパフォーマンスがよいのである。過去のこれらの年の4年間の金価格の平均パフォーマンスは7割上昇で、最大で3.5倍になっている。ちなみにダウ平均は平均で5割弱、最大でも2.2倍。この事実も考慮すれば、2016年から始まる今後4年間は、株式の保有に加え、金への投資でより高いパフォーマンスを目指すことが賢明な投資戦略ということになる。いずれにしても、今回の米利上げが「市場構造の大転換」を促す結果になることは確かだ。
米国株については、別の観点からも要注意である。それはダウ運輸株指数の弱さである。この指数は一般的にはダウ平均株価などの先行指標としてとらえられている。13年以降のダウ運輸株指数とダウ平均株価を比較すると、現在は過去にないほど値動きが乖離している。
ダウ平均株価がこの動きに追随するのであれば、1万6000ドルまで調整するとの試算になる。この水準は、ダウ平均株価の100日移動平均線や25日線の10%下方乖離の水準であり、テクニカル的にも説明しやすい水準である。「利上げで株は上昇」と楽観的になっていると、このような重大な事実を見逃すことになる。
日本株については、為替相場がポイントになる。米利上げ後のドル円相場はドル安・円高に転換し、早ければ3月、遅くとも5月ごろにドルは底値をつけるだろう。過去の利上げ局面を前提とすれば、ドル円相場の想定は最低でも112円、メインシナリオで108円、最大で102円となる。これを受けて、日本株はいったん下押すだろう。その後は反転し、2016年末に向けてドルは上昇し、日本株も回復するだろう。当面は1万8500円から1万8000円程度までの調整を視野に入れながら、上値を買わないことが肝要だ。
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