インドのスズキ工場で暴動発生し、インド人人事部長死亡--背景には人事処遇への根深い不満か?
スズキのインド北部ハリヤナ州マネサール工場で18日夜、放火と暴動が発生し、日本人二人を含む多数の負傷者を出した。現地メディアによれば、負傷者は80名以上にのぼり、焼け跡から発見された遺体はインド人の人事部長と判明、現地進出企業にも衝撃を与えている。既に暴動に関わった100名以上が逮捕されているという。
今回の暴動の発端は、「幹部による従業員へのカースト上の差別的発言」とされているが、同工場では昨年から問題が頻発してきた経緯がある。
目撃者が現地メディアに語った証言によれば、暴徒化した従業員達は人事部門の書類を奪い、その書類を組立ラインに置いて火を付けたという。こうしたことから、「根深い人事処遇への不満」も推測される。
経営側の譲歩が紛争を長期化
同工場では昨年6月から10月にかけて労使紛争が度々発生、労働者側は、同社に古くからある既存の労組とは別に自分達で未公認労組を立ち上げ、「新労組の承認」「期間工の正規工への昇格」等を要求し、経営側と衝突してきた。最初の「違法スト」が発生した時点でハリヤナ州政府の介入により、経営側が譲歩して「一度、解雇した首謀者達を復職させて解決したこと」が、紛争を長期化させてしまった要因の一つとも指摘されている。何度も紛争を繰り返し、いわば「紛争癖」がついてしまった格好だ。