東急、エリア最大商業ビルで銀座バトル参戦 投資額1800億円、「東急プラザ銀座」開業へ

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ライバル店との相乗効果が期待できる面もある。松坂屋跡地には銀座初のバスターミナルができ、観光客の銀座回遊の起点ともなる。ここから、東急プラザ銀座までは、東西に走るみゆき通りを通じて徒歩3分の距離だ。2つのランドマークができれば、往来する人が増えることが期待される。

実は、すぐ近くに好例がある。2007年にJR有楽町駅前が再開発され、有楽町イトシアとマロニエゲートが開業すると、それらをつないで松屋銀座店までを結ぶ銀座マロニエ通りの人通りが増加。銀座中央通りと銀座マロニエ通りが交差する四つ角には、ルイ・ヴィトン、ブルガリ、シャネル、カルティエが出店するなど、銀座屈指の高級ブランド集積エリアとして、通り一帯の評価が高まった。

「銀座を東急の東の拠点にする」

グループを挙げて取り組むと意気込む。左から東急文化村・西村友伸社長、東急不動産・植村仁社長、東急百貨店・二橋千裕社長、東急ハンズ・吉浦勝博社長(撮影:尾形文繁)

渋谷を拠点とする東急不動産にとって、銀座への出店は悲願だった。同社は不動産ミニバブル期の2007年に、この地にあった旧銀座TSビルを1610億円で取得。入居していたモザイク銀座阪急の立ち退きには補償金60億円と5年の月日を要した。土地、建物合わせた総投資額は1800億円にのぼる。「銀座を東急グループの東の拠点と位置付け、渋谷のようにグループの総力を挙げて街づくりをしていきたい」(岡田常務)。

商業施設コンサルティング会社ビーエーシー・アーバンプロジェクトの矢木達也社長は、東急プラザの出店を「自らが出店することでエリアの付加価値を高める立地創造形の出店」と形容する。

国内商業エリアの賃料を並べると、不動の1位は銀座4丁目交差点周辺。数寄屋橋交差点は、新宿3丁目、表参道、神宮前の各交差点とともに、次の集団で競っている。東急プラザ銀座の出店によって数寄屋橋交差点が国内2位の地位を固めることができれば、銀座の街の競争力はいっそう高まりそうだ。

茨木 裕 東洋経済 記者

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いばらき ゆたか / Yutaka Ibaraki

1975年生まれ。「週刊東洋経済」編集部所属

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