証券インサイダー情報漏洩事件、金融庁の自主調査命令に震え上がる大手証券

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戦々恐々の証券各社

ヘッジファンドによるインサイダー情報による空売りは、公募増資が集中した局面で早くからうわさされていたものであり、ある意味では、本命視されていた事案を証券監視委は把握し、課徴金勧告まで追い込んだ。

その本命事案が公表されるや、金融庁が12社に調査・報告命令を出したという経緯からして、証券監視委・金融庁は、ほかにもまだ事案を把握しているのではないか」という憶測が飛び交っており、こうしたなかで、おざなりの報告で済ますことに対する危険性を感じている証券会社もある。最悪の場合、調査報告内容に対して、証券監視委が把握している事実との食い違いを指摘され、虚偽報告扱いされることすら予想できないわけではない。

プロフェッショナルの証券マンによるインサイダー事案では、それを犯したり、情報を漏洩したりする行為は「確信犯」的だ。したがって、インサイダー取引そのものが複雑で、情報漏洩の証拠が隠蔽されていることがあるうえに、社内調査に対して、簡単にはその事実を認めることはない、というのが一般的な見方だ。また、自社の社員がインサイダー取引関連の行為を働くわけがない、という前提で、各社は増資引き受けなどの業務を行ってきたように思える。

そのため、防止態勢を整備したとは言っても、多くの場合、形式上の態勢に終始しているケースが多く、実情の把握は容易ではないとみられる。そうしたなかで、インサイダー情報漏洩が当局によって暴かれて、自主的な調査・報告が突然、求められたというのが今回の出来事。少なくとも、証券監視委と金融庁が絶妙なタイミングで命令措置を発したことは明らかだ。
(浪川攻 =東洋経済オンライン)

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