新幹線の「車内改札」が今になって終わる事情 不評の多かった"恒例行事"がいよいよ廃止に

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JR東海は「車内の巡回は引き続き行う」としている。が、車内改札がなくなれば、現在「のぞみ」だと3人いる車掌の数を減らし、効率化を図ることは十分考えられる。単純に車内改札のために割いていた人員を削減するのか、あるいは、サービスや安全性の強化に振り向けるのか。今後の方向性は注目だ。

改善すべき点はほかにもある

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北陸新幹線は全席にコンセントが付いている(撮影:梅谷秀司)

コンセントの設置など、ほかの新幹線より先行しているサービスもある東海道新幹線だが、車内改札以外にも改善すべき点はいくつもある。

よく指摘されるのは、座席に残されたゴミの後始末だ。座席の下や座席背面の荷物網に弁当の空箱などを置きっぱなしにして乗客が途中駅で下車すると、次にその席に座る乗客は不快に感じる。

車内アナウンスで「ゴミをお片付けください」と注意喚起しているが、他社の新幹線では客室乗務員がゴミ袋を持って回収する光景を見掛ける。車内販売でコーヒーを買うと、ゴミ袋をいっしょに渡してくれる販売員もいる。JR東海も、こうしたサービスは積極的に取り入れていいはずだ。

インターネットにつながりにくいとの指摘も多い。東海道新幹線の車内インターネット接続サービスは高速での走行に対応した通信方式のため、1秒間に通信できるデータの量が制限されている。「一度に120~130人が使うと、容量がいっぱいになる」という専門家の指摘もある。

1車両当たり7~8人が同時に接続すると、つながりにくくなる計算だ。JR東海も「高速の回線速度を必要とする動画やデータの閲覧には不適」と認めている。ほかの新幹線では見られないサービスだが、環境を改善してほしいと願うビジネスマンは少なくない。

現在は窓側と車端部にしか設置していないコンセントも、すでに北陸新幹線E7系は全席に装備している。今後投入を予定している車両では、装備を検討してもいいのではないか。

1964年の開業当初、東海道新幹線の最高時速は210キロメートルだったが、50年の歳月をかけて時速285キロメートルまでスピードアップした。ハード面でストイックな開発努力を重ねてきたJR東海だからこそ、ソフト面のさらなる改善にもついつい期待を寄せてしまう。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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