大手製造業に関しては学生の人気は回復基調にあるようです。マイナビの調査によると2015年入社組において自動車や電子・電機などの製造業に対して採用情報の提供を求める「エントリー」の数が、前年に比べて大きく30%以上も増加。業績も回復基調にあり、採用増を期待してエントリーが増えたようです。2016年卒でも傾向は同様。学生に製造業を選ぶ理由を聞いてみると、
「製造業は雇用が安定して賃金も高いというイメージがあるからです」
との回答が返ってきました。特に理系で製造業回帰の傾向が高く、学部に関係の深い分野に強い大手製造業への人気が高まってきたようです。
ちなみに数年前まで、理系学生が金融機関など文系の人気企業に就職する「文転就職」が増えた時期もありました。工学部の電子系学科から広告代理店や旅行会社にエントリーするイメージです。
製造業ではそれに対し、相当な危機感があったようですが、今、その傾向には歯止めがかかってきたのです(総合商社など変わらず理系にも人気の企業はありますが)。
ネットが主戦力になり、中小企業は不利に…
前出の学生さんのコメントのように長く同じ会社で働きたい「安定志向」にマッチした職場環境として、製造業にフォーカス(注目)が再び集まるようになったのでしょう。このように製造業の人気回復はうれしいことことですが、大企業以外では人気はどうなのでしょうか?
そもそも、ネットを活用した就職活動が主力になって、中小企業は大いに不利になったと言われています。企業研究の資料が紙面であった時代にはパラパラと眺めていての偶然の発見がありました。もともとは大手製造業の企業研究が目的で送られてきた就職情報誌の紙面でページをめくったときに目にとまった会社があり応募。その会社に入社して活躍している人の話を昔はよく聞いたものです。
ところが、ネットによる会社研究では偶然の出会いが難しくなります。仮に一括エントリーで応募しても、大企業の選考プロセス優先で中小企業には積極的に応募しない学生が多いとのこと。中小企業にはつらい時代になったとも言えます。
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