スーパーの売れ筋を作り始めたクチコミの波 商品・サービス改良のヒントがそこにある

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投稿されたクチコミの内容を見てみると「○○の商品が特売で嬉しかったです」といったお買い得商品に関するコメントから、「魚コーナーの接客が親切で、子どもと一緒に毎日通っています」「店長さんからのメルマガが楽しい」「レジ対応が早く挨拶も気持ちがいい」といったサービスへの満足感など、よいコメントが続きます。

ポジティブなクチコミが8割、店員のヤル気も上がる

スーパーやデパート、ショッピングセンターには、店への要望を書いて投函できる意見箱が大抵の店舗にありますが、その中身の大半がおしかりの言葉や不満点などネガティブなコメントと言われています。

一方、クックパッドの「特売情報」のクチコミは約8割がポジティブな内容。スマホやパソコンで気軽に書き込みやすいことも後押ししており、クチコミ件数はサービス開始から11月現在で3000件を超え、1カ月1000件のペースで増え続けています。

この結果に「自分の仕事についてコメントをもらえたことでヤル気が出る」「お客様の気持ちがわかってうれしい」など、店舗からの声が多数寄せられており、日夜売り場で働く店員のモチベーションアップにつながっていることが伺えます。

「お客様目線」という言葉は、流通業にかかわらずどの業界でもよく使われます。しかし、その「お客様目線」がどこまで開発の現場に生かされているかは、その企業次第ということになります。

クチコミという消費者からのメッセージは、新商品やサービスを開発する、または現行品を見直すうえで大きなヒントになることは確かでしょう。クチコミをヒントに商品やサービスを開発し、手に取った消費者から、感謝のクチコミが企業へ届けられる。この好循環が続けば、売り場もさらに素敵なものになるに違いありません。

石山 真紀 フリーライター・売り場研究家

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いしやま まき / Ishiyama Maki

法政大学卒業後、食品企業で販売の現場に携わる。その後、流通コンサルタント企業へ転身。結婚による退職後、物流業界新聞社、流通業界雑誌社を経て、2008年よりフリー。現在は流通専門誌や弦楽器専門誌などでも取材・執筆・編集に携わるほか、売り場づくりやマーチャンダイジングの研究も行っている。
 

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