吉野家が20年ぶりの社長交代。わが道いく経営に「ジャイアント馬場並み」スピードとの評も
牛丼大手の吉野家ホールディングスは、安部修二社長(写真右)が吉野家ホールディングスの会長に、子会社「はなまるうどん」の河村泰貴社長(同左)が吉野家ホールディングスの社長に、9月1日付で就任する人事を発表した。なお、中核子会社である牛丼「吉野家」の社長は引き続き安部氏が務める。
6月26日に会見した安部社長は、河村氏を次期社長に抜擢した意図について、「はなまるうどんを立て直したこと、明確なビジョンを描ける経営者であること」の2つを考慮したと説明した。安部社長自身が、会長就任後も牛丼「吉野家」の社長を続けることについては、「同じタイミングで異動すべきだという認識はあるが、今は2015年に向けた中期経営計画の序盤戦。ここで経営を離れるわけにはいかない」としている。
ホールディングスの社長に就任する河村氏は、「吉野家を含めグループ会社は大変危機的な状況にあると認識している。本来であればスピーディにいろんなことを変えていくことが求められる状況だが、外食は“ピープルビジネス”で多くの人が関わって価値を作っている。グループに属している人たちの共感を少しずつ得ながら、変えるべきところを変えていきたい」と抱負を語った。
吉野家ホールディングスで社長が交代するのは、1992年に安部氏が就任して以来、実に20年ぶり。社長の交代については、07年に持ち株会社化した時点から、「世代交代や新陳代謝の必要性を最大の目標」(安部社長)としていた。社長交代発表の時期が5月の株主総会後、6月下旬になった理由については、「1年半前から河村氏の説得に当たっていたが、やっと了承がとれたのがこの時期だった」と安部社長は説明する。