交渉余地のない「イスラム国」は殲滅すべきだ

米ヒル元国務次官補が説く戦争の終わらせ方

サウジは最近の決定を覆して、イエメンのシーア派反乱軍への怒りを、むしろイスラム国に向けるべきなのである。イスラム国に刺激を与えた裕福な隣国の責任は重い。

アサド政権と反対派との内戦については、ウィーンで行なわれている和平交渉は慎重ながら楽観できる進展を見せている。欧米だけでなくトルコ、サウジアラビアまでが参加しており、紛争解決の糸口にはなり得る。

しかし、この交渉はまだ完璧ではない。努力を批判するには時期尚早だが、現時点で幾つか、潜在的な懸念を指摘することはできる。

まず初めに、和平交渉の成果が選挙だけであってはならない。シリアには多くの少数民族がいるが、人口が少な過ぎて代表を当選させられない民族もあるかもしれない。このため、少数民族の権利保証に的を絞った機関などが必要になる。

もう一つ心配なのは、参加国の中に、「シリアが率先」して紛争を解決すべきだの主張がある点だ。しかし、過去4年間戦い続けているシリアでは、率先して平和を実現しようとする勢力はまったく見当たらない。

ボスニア紛争の教訓

危機に面している時、各国は過去の教訓を忘れるようだ。ボスニア紛争を終わらせたデイトン協定が署名されて今月で20周年になるが、協定成立には2つの段階があった。まずは国際社会、続いて紛争に直接関与した当事者たちが、平和構想に同意した。恩着せがましく聞こえるかも知れないが、この方式は成功した。

数十万人もの無実の人々を殺傷するとともに数百万人を退去させた紛争に加わった者たちは、この大混乱を終わらせるのに必要な行動を起こす決断を下すべきだ。そうすればイスラム国を一気に崩壊させることに、誰もが注意を向けられるようになるだろう。

原文はこちら
 

週刊東洋経済12月5日号

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