中国企業が米国で歓迎されない理由とは

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(1)国債購入だけで企業投資をしない

「米国債の大量購入は歓迎。でも米国企業に投資しないで」。かつて米タイム誌はこう書いた。中国は米国債の最大の保有国である。

中国の専門家からは米国債の安全性について懸念の声もあるが、米政府は「米国債は非常に安全」と喧伝している。

(2)「メード・イン・アメリカ」を支える製造業への投資

米国はいま製造業の再建に取り組んでいる。近年、中国の対米投資案件で最もスムーズに進むのが製造業だ。10年に行われた中国による2億ドル以上の対米投資のうち、半数以上の案件が製造業であり、最大の投資先は機械設備と電子製造業だった。オバマ政権は、「再工業化政策」を打ち出している。

(3)更新期を迎えるインフラへの投資

米国が差し迫って必要としているのは、インフラ・建設分野への投資だ。理由は二つある。

一つは、大統領選挙を目前にして、即効性のある経済対策を必要としていること。もう一つはインフラの老朽化だ。米国の道路はほとんどが30年代から70年代に建設され、それ以後、大規模な改修が行われず、傷みが目立っている。鉄道も老朽化している。

(4)中国に競争力がない分野への投資

中国に競争力がない分野は、米国に脅威とならず歓迎される。金融やエンターテインメントがそうである。中国工商銀行による米バンク・オブ・イースト・アジアの買収、娯楽業の万達による映画館チェーン・AMC買収は、何ら問題とならなかった。

(中国『中国経済周刊』5月21日号/李 小暁記者 =週刊東洋経済2012年6月30日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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