連動性高まる世界 パッチワークでない危機の処方箋づくりを

危機が起きたときに、短期間で採られるべき金融緩和や財政出動などのマクロ経済政策のタイミングと、長期間で取り組まなければならない構造改革を整理し、うまく組み合わせることは難しい。民主主義国では、痛みを伴う改革の実行も困難だ。

バーナンキFRB(米国連邦準備制度理事会)議長は、08年のQE1(量的緩和第1弾)や10年のQE2によって「バランスシートを使った果敢な金融緩和でデフレに陥ることを回避した」と胸を張る。ユーロ圏は政策合意に時間がかかり、ECB(欧州中央銀行)は11年暮れから12年2月にかけて大規模なLTRO(3年物資金供給オペ)にようやく踏み切った。ただ、金融緩和や財政出動には大きな効果があるが、一定期間で手仕舞うべきものだ。長く続ければプラス効果が薄れ、副作用が大きくなる。だが、財政出動は持続可能性の面からブレーキがかかるが、金融緩和は安易に採られがちだ。

HSBCのチーフエコノミストのスティーブン・キング氏は、米国についても「金融緩和の意図しない結果として、投資のハードルレートが低くなり、資金は国債に流れ込み、イノベーションのダイナミズムが低下している」と指摘する。

米国の成長率トレンドがかつての3%から2%へと下方屈折したのではないか、インフレ率と雇用のトレードオフの関係が弱まっているのではないかということが議論になっている。仮に長期の成長率低下を短期の景気の下振れと見なし、バーナンキ議長が5%台の失業率実現にこだわると金融緩和からの脱却が遅れ、さらに資金配分を歪めるかもしれない。

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