連動性高まる世界 パッチワークでない危機の処方箋づくりを

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通貨同盟で縛られるユーロ圏内では、ギリシャの債務不履行のリスクが、同様に財政状況が厳しく経常赤字であるスペイン、イタリアに波及することが恐れられている。両国の10年物国債金利はイタリアが6%、スペインが7%台にハネ上がる一方、ドイツ国債が買われて金利は1・4%の歴史的低水準をつけた。

一方、財政指標がスペインよりも悪く、世界最大の経常赤字国なのに基軸通貨国である米国は資金の逃避先となり、金利は1・6%と1950年以来の低水準。世界で財政だけは断トツに悪い日本の金利も0・8%と低位に張り付き、債券バブルになっている。

しかし、マネーフローのつながり方や動きについて世界の政府当局者や市場関係者がよく把握しているとはいえない。2005年ごろから盛んに米国の住宅バブル問題が指摘されていたにもかかわらず、崩壊への備えはなかった。07年のサブプライムローンデフォルトの影響を軽視し、米リーマン・ブラザーズの破綻を許し、その後の対策も後手に回った。90年代にバブル崩壊を経験した日本と異なり、預金保険制度や公的資金注入の仕組みもできていなかったし、中央銀行の流動性供給のプログラムも急ごしらえだった。

また、08年には行き場を失ったマネーが商品市場に流れ込んで原油価格の急騰を引き起こしたために、構造的にインフレ体質にある欧州では金融危機にもかかわらず、7月には引き締めが行われていた。

一方、資源国、新興国は「デカップリング」の名の下に、世界経済の牽引役を期待された。中国の4兆元の財政出動は確かに世界経済を牽引し、世界における中国の存在感を高めたが、国内には過剰投資による住宅バブルなどのリスクや輸出偏重の経済バランス、貧富の格差などの不均衡が積み上がった。

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