一流の経営者は、根っからのゲーマーが多い ゲームが社会をより良いものにしていく
マクゴニガル: ゲーム思考を持つとよい効果もあるし、あまりよくない効果もある。ゲーム思考によって、世界を変えられるというエンパワーメントされた気持ちになるのはい いとして、それは必ずしもよい方向で世界を変えるのではないかもしれない。所属意識を持ちたいという若者たちが、危険なものとか、邪悪なものに所属意識を 持ちたいというふうに思ってしまうかもしれない。だから、若者の気持ちを悪いものではなくて、ポジティブなものにつなげていくことが大切なのではないかと 思います。
優秀なゲーマーは企業経営でも成功する
瀧本:実はゲーマーがよいストラジストになっている、ゲーマーが企業経営で活躍しているという事例は本当にたくさんあります。
マクゴニガル:私は、そうした成功した人たちがゲームで得られたことをどう現実社会の中で使っているか、もっとオープンに語られるようになるといいと思います。すでにスポーツについては、それは起きています。アスリートの思考を普通の人が参考にしたりとか、ロールモデルにしている。ゲームのほうがもっと戦略的な思考が必要だし、もっと人生のメタファーとして活用できるんじゃないかと思います。
瀧本:私自身、中学校の頃は、かなりボードゲームをやっていて。僕のいろいろな発想の原点は、そこにあります。
マクゴニガル:ボードゲームというのが近年では、協力するという部分が非常に強調されてきて、たとえば『パンデミック』というボードゲームはとても人気で、みんなで一つの目標を共有して、みんなで勝つか、みんなで負けるか、そういったゲームのほうが、職場でのゲーム思考ということに活用するには有効なのではないかと思います。ほかの会社とは競い合うかもしれないけれども、社内では協力関係というのが必要なので。ボードゲームがそのような形で進化しているというのは、本当にすばらしいことだと思っています。
瀧本:20世紀の前半に、化学物質の精製技術というのはむちゃくちゃ進化した。たくさんの薬が作られたわけですけれども、一方では化学兵器も同時に進歩したわけです。そういう面でやっぱり、20世紀後半から今のここ30年ぐらいに、ゲームという新しいテクノロジーが化学と同じような形で出てきたように思います。
研究をもっと進めて、ゲームをさまざまないいことに使えるようにできればいいと思う。化学の研究も最初は毒物だったものを薬に変えていく歴史だったわけですが、ゲームが持っている薬のようなところは、まだまだ伸びがあるはずです。要するに、ゲームテクノロジーというものをもっと活用できるようになれば、相当大きなインパクトがあるように思います。
(撮影:梅谷秀司)
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