米経済の問題は、増税では解決しない 肝心なのは政府支出削減だ--コロンビア大学ビジネススクール校長 グレン・ハバード
11月に迫る米大統領選挙で最大の争点となるのが、経済政策だ。オバマ政権と、ロムニー共和党大統領候補の経済政策はどこに違いがあるのか。ロムニーの経済政策アドバイザーを務める、コロンビア大学ビジネススクールのグレン・ハバード校長に聞いた。
──経済政策において、ロムニーは何を最優先テーマとして掲げているのか。
ロムニーが目指すのは、力強い成長と雇用の創出だ。このゴールを目指し、ロムニーは早急に税制改革と予算に取り組むことになるだろう。
一つには、財政の安定化と税制の改革が、経済成長にとって極めて重要な意味を持つ。2012年末には「財政の崖」(注:現行の減税措置の停止と強制的な政府支出の削減が重なり、約6000億ドルの財政緊縮につながる)が迫っており、対策は待ったなしの状況だ。
ほかに重要分野を挙げるとすれば、まずは金融規制の改革だ。ロムニーは、ドッド・フランク法(オバマ政権が10年7月に適用した金融規制法)には違和感を覚えると述べており、修正または代替立法を求める姿勢を示している。
加えて、労働市場政策にも注目が集まるだろう。つまり、失業者がもっと迅速に労働市場に再参入できるよう支援する方策が求められている。言うまでもなく、オバマケア(オバマ大統領の医療保険法)の廃止および代替立法には、早急に取り組むことになる。
──現行の金融規制のどこが問題なのか?
肝心なのは、「大きすぎて潰せない」政策をやめることだ。そうすれば、金融機関に対して、過大なレバレッジをかけない(資本に比して大きすぎるリスク資産を抱えない)、過大なリスクを取らない、という究極のインセンティブが働く。大きくても潰れる可能性があれば、金融機関は血税を使ってのマネーゲームを手控えるようになる。