アベノミクスは所得分配の色を強めている 分配政策に軸足、民主党政策に接近の声も
だが、支出面への波及が思惑通りにいっていない。金融面からの効果が効いていないため、政府自ら消費につながる賃上げ要請と設備投資への環境整備に乗り出した格好だ。
福祉的な色彩の強い政策も並んだ。出生率1.8を目指して子育て支援や幼児教育無償化をはじめ、介護施設の増設や介護休暇給付金の引き上げも打ち出した。
副作用が大きくなる懸念
山田氏はアベノミクスについて「分配政策への傾斜の色彩が強まった感じもする」と指摘する。
ただ「慈善事業的な分配政策をやり過ぎると、副作用は大きくなる」とも懸念する。賃金政策にしても、労使の話し合いや政治の介入で決まる日本のやり方は、生産性をもとに労働分配率を決める海外の方式とは異なり、本来のあるべき姿ではないとして、生産性を無視した賃上げは、持続的に成功しないとみている。
日興アセットマネジメント・チーフストラテジストの神山直樹氏は「社会保障的な分配政策が先か成長政策が先かは、民主党と自民党の違いだが、本質は同じ」と指摘。
そのうえで民主党時代の最低賃金引き上げは、景気が悪く大胆にはできなかったが、安倍政権が実現できれば、最低賃金さえ引き上げできない企業は淘汰される政策でもあり、成長にもつながるとして評価している。
(中川泉 編集:田巻一彦)
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