アベノミクスは所得分配の色を強めている 分配政策に軸足、民主党政策に接近の声も

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 11月26日、「新3本の矢」を掲げたアベノミクスは、1億総活躍緊急対策の中で成長の果実を幅広い階層へ分配することに軸足を置き始めた。都内で3月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 26日 ロイター] - 「新3本の矢」を掲げたアベノミクスは、1億総活躍緊急対策の中で成長の果実を幅広い階層へ分配することに軸足を置き始めた。最低賃金引き上げや、低所得者への手厚い支給金、介護・出産支援拡大などが盛り込まれた。

しかし、こうした所得再分配への傾斜は、「民主党政権と酷似」との指摘が有識者から出ており、行き過ぎると副作用が強まる懸念が浮上している。

最低賃金増、正規社員賃金抑制の懸念

「最低賃金が上昇しているので、人件費全体のコストが増えて、生産性が低下している。その分、来春闘での賃上げは今年並みか、それ以下に抑える」──。11月ロイター企業調査では、小売業からこんなコメントが寄せられた。

最低賃金の引き上げについて、安倍晋三首相は年率3%程度引き上げることをめどとする方針を打ち出した。

今年度は全国加重平均で798円となっている最低賃金は、企業業績のよかった昨年度から2.3%上昇。その前の年は2.0%の上昇だった。これを3%に引き上げるのは、一段の好業績が前提となるだろう。

このため、大企業よりも最低賃金近辺で働く労働者の割合が高い中小企業の人件費への打撃が大きいとみられる。ただ、大企業を中心としたロイター企業調査の回答にも、影響がうかがえる。

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