習近平は「現代の雍正帝」なのか? 舛添要一が読み解く "粛清と独裁"の構造、「善意にあふれた悪意の政治」とその限界

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13年間と言えば、2012年に習近平はトップの座に就いているので、すでにその統治期間を過ぎている。習近平は雍正帝の独裁政治の限界をよく理解しており、経済発展の成果を広く国民に分配することで、支配の崩壊を避けてきた。

1735年10月8日、雍正帝は崩御した。後継の乾隆帝は、康熙帝時代の寛大な政治に復帰させた。しかし、その政治は官僚の腐敗を生み、清朝の力を削いでいき、アヘン戦争以降の屈辱の歴史につながるのである。

善意にあふれた悪意の政治

習近平が反腐敗キャンペーンの手綱を緩めないのは、その歴史をしっかりと胸に刻んでいるからであろう。宮崎市定の含蓄のある表現を引用したい。

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中国に数千年もの間、専制君主制が続いてきたのは、それがある程度の柔軟性をもち、時代の進歩に適応して進歩してきたためである。もしも君主制が何の理想ももたず、全く恣意的な無軌道のものであったり、或いは堅い殻のように固定したままで人民を抑えつけているのであったなら、いかに辛抱強い中国民衆でも、それを打破って新しい政治様式を造り出したにちがいない。

……独裁制に信頼する民衆は独裁制でなければ治まらないように方向づけられてしまった。これは中国人民にとってまことに悲しむべき結果である。この点から言えば、雍正帝の政治は正に善意にあふれた悪意の政治と言わなければならない。(宮崎市定前掲書、192頁)

舛添 要一 国際政治学者

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ますぞえ よういち / Yoichi Masuzoe

国際政治学者、元東京都知事。1948年、福岡県生まれ。1971年に東京大学法学部政治学科卒業後、同大学法学部助手。パリ、ジュネーブ、ミュンヘンで外交史を研究。東京大学教養学部助教授を経て政界へ。2001年に参議院議員初当選後、厚生労働大臣、東京都知事を歴任。著書に『ヒトラーの正体』『ムッソリーニの正体』『現代史を知れば世界がわかる』、佐藤優氏との共著『21世紀の独裁』など。

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