ゴルフ専門サイト最大手ゴルフダイジェスト・オンライン・石坂社長に聞く--ネット小売りは競争激化、ネット予約で楽天とガチンコ勝負
広告収入に加え、メディアは集客エンジンの役割も担う。「トライシクルモデル」とは、メディア事業が配信するコンテンツでユーザーを引っ張ってきて、頻繁に来訪してもらい、いざゴルフ用品を買いたい、ゴルフ場を予約したい、というときにGDOを使ってもらうということ。
CGM(消費者生成メディア=口コミ)やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に比べ、GDOの強みは、やはりプロの作る「編集コンテンツ」を持つ点。ページビューを見ても、編集コンテンツだけなら前年比150~160%で伸び続けている。
--GDOはコンテンツの有料配信も行っているが、むしろユーザーがオープンに読めるコンテンツを増やして、小売りや予約の集客エンジンにするほうがよいということか。
難しい問題だが、中途半端はやはりダメ。ガラケー(従来型携帯電話)からスマホにシフトが進む中では皆同じだろうが、残念ながらいくら頑張っても、ガラケーで稼いでいた有料課金の収益の減少は補えない。ならば、中途半端より無料にしたほうがよい。
難しいのは、「コンテンツを1回無料にしたら絶対、有料に戻せない」ということ。ただ、同じコンテンツだったら有料には戻せないが、本当に価値のある別のコンテンツやサービスを生み出せるなら、また有料化のチャンスが出てくるかもしれない。
◆ゴルフ場大手が自社サイト予約を強化しても、予約仲介は不可欠
--ゴルフ場予約については、アコーディア・ゴルフやPGMホールディングスなど、M&Aで規模を拡大している大手のゴルフ場運営会社自体が、自社サイトで予約も取り込もうとする動きがある。
ベンチマークは旅行業界、特にホテル業界だ。たとえば米スターウッドグループ(「ウェスティン」「シェラトン」など有力ホテルを運営)は、米エクスペディア(世界最大級の旅行予約サイト)といったん縁を切ったり、翌年また関係を復活したり、といった、イタチごっこをしている。
予約サイトを使ったほうが集客面でプラスと見るか、自社サイトのほうが手数料を払わない分プラスと見るか。最終的には、差し引きでプラスと見れば、われわれのような予約仲介業者は否定できないだろう。
アコーディアやPGMのサイトに1回接触した人ががっちり捕まえられて、いっさい他社のゴルフ場には浮気しない、なんてことはありえない。だからこそ、ゴルフ場運営会社も広告宣伝費や販売促進費をかけている。その最も効率的な手段が、GDOのような予約サイトを使うことではないか。