東レが優良企業に変貌、絶好調の背景は? ユニクロとの戦略的提携はTPPが追い風に

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東レとファーストリテイリングの戦略的パートナーシップを象徴する「ヒートテック」(撮影:尾形文繁)

繊維事業でも攻勢に出ている。中間決算発表からちょうど1週間後。東レの日覚昭廣社長は都内のホテルでファーストリテイリングの柳井正・会長兼社長と固い握手を交わしていた。

「この5年間でユニクロを世界ナンバーワンブランドにしていく」

柳井氏の夢は繊維、アパレル、ファッション、小売業を統合し、それらを超えた新しい産業をつくること。その夢の実現を「土台」(柳井氏)として支えるのが、ユニクロ向けの特殊な糸の生産や縫製を担う東レなのだ。

ユニクロ向け累計額は今後5年で1兆円目指す

11月17日、東レとファーストリテイリングは新たな「戦略的パートナーシップ」を結ぶことで合意した。2016年から2020年までの5年間で、取引累計額1兆円を目指す。

すでに東レとユニクロは切っても切れない関係に達している。ユニクロの「エアリズム」「ヒートテック」「ウルトラライトダウン」の主力3商品は、東レが糸の段階から縫製までをすべて手がけ、納入している。東レはユニクロ向け縫製品の割合を公表していないが、繊維事業売上高のうち、ユニクロ向けを含む縫製品事業は全体の4分の1を占めるまで成長している。

そもそもユニクロと東レの関係は、1999年にまでさかのぼる。柳井氏が当時の「役員全員を引き連れて」(柳井氏)東レ本社に出向き、東レの前田勝之助会長(当時)と会談して、東レから原材料供給を受けることを決めた。翌2000年には東レが社内にワンストップでユニクロのニーズに対応する専任部署を設置し、これまでフリース(1999年)やヒートテック(2003年)、ブラトップ(2004年)など、多くのメガヒット素材を開発してきた。

東レとファーストリテイリングは2006年以降、2度にわたって5カ年の戦略的パートナーシップを結んできた。取引累積額は、2006年からの第1期は2500億円、2011年からの第2期は6000億円と倍増ペースで拡大している。1期計画は2000億円、2期計画は4000億円を目標にして、結果的には上ぶれした。

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