「魚が獲れず、輸入価格も上がり続ける…」安くておいしい魚を日本に取り戻す"たった1つ"の現実解

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(出所)水産白書

北欧などでは、短期的には漁獲量の増減があっても、水産加工場への投資が進んでいます。これは水産資源が持続的な仕組みになっており、水産業が成長産業であることが理解されているからです。

一方、日本の場合は、魚を獲り続けられるかどうかの見通しが立たないため、設備投資が進みません。さらに、働くことを考慮した北欧と、生産を最優先としてきた日本では、漁船でも加工場でも働く環境が大きく異なっています。実際に北欧の水産現場を見ると、その違いが明確にわかります。

また、ノルウェーやアイスランドなどの水産業対策を見ていると、洋上で凍結するのではなく、鮮魚で運び、陸上で付加価値を付けて輸出する傾向が続いています。かつて数十隻あった、サバ・ニシンなどを洋上で凍結する漁船は、ノルウェーには存在しません。

なお、陸上で加工する傾向は、サンマやサバをはじめ、日本で魚を加工処理しているやり方と似ています。ただし、根本的に違うのは資源の持続性です。その持続性を担保できれば、かつて栄えたように良い方向へ変わるのです。

必要なのは科学的根拠に基づく資源管理

ノルウェーでのサバの現地加工(写真:筆者提供)

上の写真はノルウェーの加工場で、日本から輸入したフィレーマシーンを使って日本の加工をまねて作った製品です。これまでは魚を丸のまま凍結し原料として日本へ輸出し、日本側で加工することが多くありましたが、徐々に過去のものになっていくでしょう。資源量が少なくなれば、なおさら現地で付加価値を付け、輸出しようとするはずです。

頭・内臓・骨は現地で魚粉・魚油の原料とし、食用になる身の部分だけを輸出していく。船賃(フレート)も大幅に節約できます。水揚げ量が多いニシンでは、すでに何年も前からそうなっています。

「MADE IN JAPAN」の水産加工製品は、かつて魚を中心に栄えた地域、そして将来も魚を食べ続けるために不可欠な存在です。

必要なのは、科学的根拠に基づく資源管理を行い、手遅れになる前に資源量を回復させることです。そのためには、水産業を成長産業とする土台を、世界の成功例を参考に改革していくことが求められます。

片野 歩 Fisk Japan CEO/東京海洋大学 特任教授

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かたの・あゆむ / Ayumu Katano

東京海洋大学 特任教授。早稲田大学卒。Youtube「おさかな研究所」発信。2022年東洋経済オンラインでニューウェーブ賞受賞。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。長年北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国であるノルウェーには、20年以上毎年訪問を続けてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会)、『日本の漁業が崩壊する本当の理由』他。

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